チャンスを見逃さない人の「小さな行動実験」

精密機器メーカーで、43歳で役員に昇格したある男性は、30代のときに「チャンスを見逃さない」働き方をしていたといいます。何気ない日常の出来事や会話から新たなアイデアや可能性を見つけるようにして、「小さな行動実験」を繰り返していたそうです。

製造工程で過剰に思えた品質チェックを10%減らしたところ、不良品の発生率は変わらないことに気づきました。というのは、実は20年前から調達していた部材自体の品質が向上していたために、組み立て工程でのチェックを減らしても問題なかったのです。

この結果、17工程のチェック体制を見直すことになり、高品質を維持したまま従業員の稼働時間を年間300時間も減らすことができました。

最初から300時間減らすことを目指していたら、ゴールが遠すぎてやる気が起きなかったでしょう。少しだけ実験してみて、よかったら進め、ダメだったら元に戻すというマインドで臨んだことで、結果的に学びを積み上げることができ、300時間の稼働時間削減につながったのです。

「できること」を増やした結果、「やりたいこと」に出会う

自分自身の働き方を見つめ直すことで、自身のキャリアにおける「セレンディピティ」を引き寄せることができます。

越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)
越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)

成功した人々の共通点は「自分が主役のキャリアを、自分自身でコントロールしている感覚」を持っていることです。自分のキャリアは自分で握っているという意識があり、チャンスを自ら探し出し、自発的に行動を起こし、自分で成果を実感していました。

キャリアが空から降ってくることはありません。自分にできること、自分がしたいことに気づき、会社や社会への貢献を意識することがキャリアアップの第一歩です。

個人的には、「5年後に実現したいキャリア像」のようなものはなくていいと思っています。自分のできることを増やしていったら、たまたま「やりたいこと」に出会うことができるからです。

こうした偶然の出会いを必然にするために、さまざまな人に出会って積極的に話し掛け、小さな行動実験で学びを積み重ねていきましょう。この記事を読んで終わりではなく、どれか役立ちそうなものを1つだけでも実践してください。その実践によって「セレンディピティ」を引き寄せるのです。

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