「できない理由」ではなく、「できる条件」を示す

そこでお勧めなのが、「できない理由」ではなく、「できる条件」を提示することです。

勧誘されている投資話をそのまま受け入れるのではなく、たとえば、「一口1万円なら」「過去、年間平均5%以上のリターンを上げているなら」のように、「もし、○○であれば、検討してみる」といった条件を出すのです。

そして、その条件は、ちょっとやそっとでは実現できないくらいに、相当高いハードルに設定することです。

そんな投資話があれば、誰もが飛び付くような、虫の良い条件でもいいでしょう。

そのように、こちらから条件を提示することで、無下に断っているわけではないことをアピールできるわけです。

そして、その条件が難しいとなれば、それは「こちらが断った」ではなく、「条件が合わずに投資できなかった」となり、相手との関係も気まずくならないわけです。

さらには、勧誘してきた相手に、「要望をかなえてあげることができなかった」という負い目を負わすこともできるかもしれませんね。

ミーティング
写真=iStock.com/Yumi mini
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相手にボールを預けて立場を逆転させる

実際、私もこの方法を、大いに活用しています。

以前、かつてお世話になった人から、とある海外ファンドへの投資を勧められました。

一口50万円からで、コンスタントに年率20%を超えるリターンをたたき出しているようですが、どう考えても怪しさ満点で、これはお金をドブに捨てるようなものだと直感しました。

ただ、その人との関係は今後も続くので、無下に断るのは避けたかったわけです。

そこで、「一口5万円なら」「最低5%のリターンを保証してくれるのなら」との条件を提示しました。

その際、「できることなら、より高いリターンの保証がほしいですが、さすがにそれは無理でしょうから、せめてその2点だけはお願いしたいのですが、なんとかなりませんか」と、こちらもかなり譲歩している姿勢をアピールしながら。

このように、こちらから条件を提示することで、勧誘を受けている立場(ボールを預けられた立場)の私ですが、逆に、相手にボールを預けている立場となり、立場逆転するわけです。

結局、やはり(というか思惑通り)、最低でも一口50万円は規定なので、これはどうしようもないとのこと。

そして、投資である以上、リターンの保証はできないとのことで、これも思惑通りでした。そしてお互い、これは仕方ないね、とのことで、スムーズに断ることができたのでした。