「告白はできれば女性からして欲しい」
’21年、ウェブメディア大手「ハフポスト日本版」などが、同年の衆議院選挙を前に、「政治が積極的に取り組んでほしい社会課題」を尋ねた調査でも、30歳未満(約3700人)の回答では、「ジェンダー平等(選択的夫婦別姓など)」が1位でした。
もっとも恋愛シーンでは、いまだに「告白やプロポーズは男性から」といった意識が根強いようではありますが、それでも10年ほど前から、若い男性たちが「告白は、できれば女性からして欲しい」などと声を上げ始め、近年では「告白経験アリ」の女性(20~39歳)が4割強(42.5%)にのぼるなど、少しずつですが、「男女不平等恋愛」が改善され始めた様子が見てとれます(’22年「Oggi.jp」小学館、10月10日掲載)。
リアルの恋愛は「コスパが悪い」
半面、若者たちが恋愛しない理由の「1 超情報化社会」と「4 恋愛リスクの露呈」については、今後ますます厳しい時代に入るのではないかと考えます。
まず「1 超情報化社会」ですが、’10年以降、SNSやスマホの普及により、膨大な情報量が流通するようになったことは言うまでもないでしょう。さらに、日本でも’23年を皮切りに騒がれ始めた「ChatGPT」など、AIを用いたチャットボットの登場は、1年で従来の数千万倍以上もの情報を流通させる可能性もあります。
和光大学 現代人間学部の高坂康雅教授は、「何でもネットで情報を得られる社会に育った若者は、それですべてが分かった気になる『既視感』が強い」と話します。
確かに’10年ごろから、若い男女への取材で「リアルの恋愛って、コスパ悪そう」といった発言が増えたのですが、声の主に恋愛経験があるかといえば、そうとは限らないことも分かりました。彼らは少なからず、ネット(SNS)で得た情報、たとえば「付き合った途端、彼女に高額なプレゼントを要求された」といった体験談をしょっちゅう目にし、「恋愛は、無駄な時間やお金を浪費する」「割に合わない」のだと、既視感を強めていることが多かったのです。
その後、YouTubeなどの動画が子どもや若者にも普及した’18年ごろからは、「性行為(セックス)」についても、「女性器って、キモそう(気持ち悪そう)」や「セックスって、汚い感じ」などの声がよく上がるようになりました。性行為のイメージを聞いた日本財団の調査でも、ネガティブな要素を指摘する男女(17~19歳)は、性経験がない人ほど多く、「汚い」や「気持ち悪い」の回答が、いずれも1割以上にのぼっており、「セックスの既視感」も強まっているようです(’21年 同「18歳意識調査 性行為」)。