「お疲れさま」だけでは言葉が足りない

逆に、仲間に感謝の気持ちをきちんと言葉にして伝えられる人は、それだけでまわりからの人望を集め、徐々に評価を高めていきます。

組織のなかでは、仕事の能力ばかりで評価が決まるわけではありません。むしろ、上に行けば行くほど、「感謝」をベースにした人望力のほうが重視されることが多いのが現実です。

そうしたことを考えると、「みんながいてくれるから自分の存在がある」という事実をしっかりと自覚したうえで、感謝することをけっして忘れてはいけないということになります。

私事ですが、私は司会の仕事をしており、プロダクションも経営していますので、所属する司会者に仕事の依頼をしています。仕事が終わったという報告があった際には、必ず「お疲れさまでした。ありがとうございました」というようにしています。

「お疲れさまだけでは足りない」と思っているからです。

「感謝の言葉も添えないと、自分の本心は伝わらない」と思っているからです。

私にできることは「お疲れさまでした」に加え、「ありがとうございました」と、心を込めたひとことを添えることくらいです。

でも、そのひとことで私の思いが伝わり、次に仕事を頼んだときにも喜んで引き受けてくれたらうれしいし、ありがたいのです。

実際、私は、そんな関係をたくさん築くことで、おかげさまでプロの司会者として仕事を続けてこられたのだと自負しています。

あなたも、「ありがとう」で、もっと信頼の輪を広げていきませんか?

「小さな感謝」を積み重ねる

感謝の気持ちを表すにはいろいろな方法があります。

何かお世話になったときに、感謝の思いを込めたお礼の手紙を書くのもいいでしょう。手紙では大げさだと思えば、メールやSNSでメッセージを送ってもいいと思います。

また、それこそ本当に助けてもらったときは、感謝の気持ちをきちんと形にして、お礼の品を贈ってもいいでしょう。

黄色い花を手渡す親子の手
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです

でも、それよりもいいのは、ここまで書いてきたように、感謝の気持ちをきちんと言葉にして伝えることです。私は、それが基本であり、繰り返しますが、「小さな感謝の積み重ね」が何より大切だと思っています。

私は、司会の仕事でいろいろな会場に出かけますが、どこに行っても、クロークやバックヤードで仕事をしている方々にも、努めて「ありがとうございます」というように心がけてきましたし、いまも心がけています。

司会の仕事とは直接関係していないとしても、いっしょに会場で仕事をしている大切な仲間だと思っているからです。

そして、そんな人たちから思いもかけない大きな仕事をいただいたことは一度や二度ではありません。