make haste slowly
改めてご紹介する。C・リー・ウォルトン・ジュニア——C.Lee Walton,Jr. 46歳。テキサス生れだそうだが、写真で見るようにホッソリした体。カウボーイの面影はない。
テキサス大学航空工学科を出て第二次大戦、朝鮮戦争には海・空軍将校として参加。その後パンアメリカン・ペトロリアム社、バブコック・アンド・ウィルコックス社を経て1955年にマッキンゼー社に入社。2年後のシェル石油オペレーションに参加して功績をあげたことは前述のとおり。以来、マッキンゼー社の積極的な多国籍化の推進役となった。社長就任は1967年とある。ハーバード出身のエリートを集めたマッキンゼー社で、他大学出身、しかも12年の社歴と41歳の若さで社長に就任したのだから、切れることはたしかである。
最後に試みた「日本の企業の多国籍化について、何かひとつアドバイスするとすれば……」という質問に対しても、オーソドックスなマッキンゼー社らしい答えが返ってきた。
Walton つねにオープン・マインドであれ。また何事も素早く着手してゆっくり進めよ。アメリカのことわざにも「ゆっくり急げ——make haste slowly」というのがありますよ。もうひとつつけ加えれば「他人がそうだからという理由だけで同じことをすべからず」ということです。
世界最大のコンサルタント会社
ブーズ・アレン・ハミルトン社と並ぶアメリカ・コンサルタント業界の名門。総収入ではブーズ社がトップだが、同社は多角経営を行なっているため、コンサルティング事業に限るとマッキンゼー社がトップ。世界最大のコンサルティング会社だ。
企業の戦略面——特にトップ・マネジメント・レベルのコンサルティングを得意としており、スタッフにもハーバードをはじめとする東部名門大学出身者が多い。「疑問の余地なく、マッキンゼー社はビジネス界で権威の点に関しては最高だと認められている」(ハル・ヒグドン著『ビジネスの魔術師たち』)
ここ15年来、積極的に海外進出を進め、現在では世界11カ国に16のオフィスを持ち、約40カ国で活動している。ここには多様な国籍を持つ約600人のコンサルタントと、それとほぼ同数のスタッフが働いている。
なお日本では数年前からサンフランシスコ事務所を窓口に業務を行なってきたが、一昨年1971年4月に正式に東京事務所を開設、約25人のスタッフで本格的なコンサルティング・サービスを開始した。
(掲載号:「プレジデント」1973年2月号 p.118~122 インタビューと編集:守岡道明)
次回は「後輩が語る"マッキゼー・ジャパン、青春の日々"」。9月17日更新予定。