候補者は「お客様」ではない

入社はあくまでスタート地点だ。特に入社初期の立ち上がりは人間関係が築かれていない状態からの出発になるため、慎重でありたい。入社後すぐどんなステップを踏むのかも含めて、一緒に働く人のタイプや業務の種類まで把握してイメージを描いておこう。また、入社時点での職種や業務内容はある程度すり合わせができているだろうが、その後どんなプロセスを歩んでいけるとよいかまで、先を見据えて対話しておけるとよい。

面接に臨むにあたって、具体的な考えや仮説を持っておくことも重要だ。

第三者のお客様気分ではなく、「自身がこの会社で働く当事者や経営陣だったらどう考えるのか?」「もしこの前提ならば、自分はこうすれば会社がよりよくなると思うがどうか?」のように、情報がないなかでも仮説と質問を用意しておく。

面接は、人生を左右しかねない場であるにもかかわらず、驚くほど受け身で臨む方も多い(意外にもシニアな方のほうが多い)。調べてわかることを聞いてくるケースは志望度が低いとみられざるをえないし、少し考えれば当たり前に想像できることをヒアリングされるのも面接する側からすれば悲しいものだ。「どうすれば、ともにこの会社をよくできるか」という当事者意識を持って臨むほうが、選考上有利なのはもちろん、入社後も活躍につながりやすい。

嘘で自分を「盛って」も良いことは何もない

企業から選ばれたい、少しでもよく見せたい、内定がほしい、と偽りの自分で面接に臨むと、結果的に不幸になるケースが多い。本音で話そう。

偽りとまでいかずとも、本音ではそこまで共感していないビジョンに、あたかもずっと共感してきたかのように伝えたり、あるいは自身の価値を少しでも高く見せようと、エピソードを度を越して「盛って」しまったり、失敗を隠してよい事例や成功ばかり話してしまったりすると、入社後、面接時の自分と本来の自分とのギャップに苦しむことになる。

自分を飾らず、対話をしよう。

どんなに受かりたい気持ちがあっても、お互いを見極めることのほうがはるかに大切だ。

「迎合することなく選考を通過する自信がない」という不安があるのもよくわかるのだが、受け身であるよりはむしろ率直に「自身が組織でどうありたいのか」「どういった価値を発揮したいのか」など、はっきりとこちらの意志や覚悟を伝えよう。そのほうが、双方のためになる。