子どもが「学校に行きたくない」と言ったら

昨日まで凛々しく「行ってきます」と言っていた子が、今朝は「おなかがいたい」「だるい」と学校に行くのをしぶり始めたら、親としては背中を押すべきか押さざるべきか、本当に迷うところでしょう。正直言うと「こうすべき」という正解はありません。子どもの性格や親の性格、学校の特徴など、ケース・バイ・ケースで対応は違うからです。

ただし子どもが「学校に行きたくない」と言ったときに大事なことは、親がいったん立ち止まることですね。そこでちゃんと対処できれば、不登校の手前で立ち止まれるかもしれませんし、そこから親子で信頼関係を立て直していくこともできるででしょう。

しかし、そこで親がパニックに陥り、親の価値観を振りかざして子どもを振り回すと、親子関係はかなりの危機に陥ります。

「行かない」と子どもが言い出したら、親は子どもの姿をしっかり見なおし、子どもの気持ちを想像してみることから始めなければなりません。

そのうえで最初にやるべきことは、「どうして今日は学校に行きたくないだろう」と子ども自身が考えられる言葉がけです。「なぜ行かないんだ」と叱ってしまったら、心を開くどころか、ただ泣くか、元気な子だったら反抗するだけです。

また原因を探ろうと、しつこく尋問するのもよくありません。子どもが気持ちを言える空気をつくったうえで、答えを迫るのではなく「疲れちゃったのかな」「おなかがキューってなっちゃうくらい心配な気持ちかな」とちょっと問いかけてみる。それで子どもが「んー」と考える感じになったらそれでいい、答えが出なくてもいいのです。気持ちを聞いているうちに、だんだんと原因らしきものが見えてくることも、こないこともありますが、親なりにこういうことなのかなと手探りで感じとれるような対話ができればよいのです。

笑顔と悲しんでいる顔のバッジを持つ手元
写真=iStock.com/ThitareeSarmkasat
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親も自分の内面を見つめる必要がある

そのとき同時に、親御さんも「この子は今、何を感じていると私は思っているの」「今なぜ私はうろたえているの」と、自分の内面も見つめてください。それなしに答えは出てきません。一般論ではなく、この子と私という具体的な場で、親として子どもの気持ちをわかりたいという自分の気持ちを素直に表現できるとよいでしょうね。

子どもの話を聞いて、何となく今日は心細いんだな、元気が出ないんだな、と思ったら、「じゃあ、今日は休もう。それで明日か明後日、元気になって行けそうなら行こうね。そのときは手伝ってあげるからね」と言って、いったん休ませるのも、かなり有力な選択肢です。大切なのは、子どもの中に登校の足をストップさせる気持ちがあることを理解すること。頭ごなしに学校に行かせるモードにならないように気をつけましょう。