胸を張っても、背中を丸めてもダメ

胸を張ると、いかにも体がグーッと上に上がったように感じるかもしれません。でも、実際に体の中で起こっていることはその逆で、内臓は「上から下へ」押されてしまっているのです。疲れて、体に負担をかけて、スタイルも悪くなってしまう残念な姿勢だということを、覚えて頂きたいと思います。

反対に、背中をまるめて、あごを突き出して座るのもNGです。この姿勢の人は、お腹がぽっこりつき出ています。背中の筋肉が前に引っぱられて固くなり、背筋をピーンと伸ばす姿勢と同様に、体に負担をかけて不調をもたらします。

崩れた姿勢は、筋肉の固さに直結します。長時間、崩れた姿勢で過ごすと、筋肉に負荷がかかり、収縮して固くなります。この収縮状態が続くと、そのまま固まってしまうからです。すべてのカギは、姿勢なのです。

よく誤解されるのですが、「ダラッと力を抜いている姿勢」か「力を込めてがんばっている姿勢」かの二者択一ではありません。そのどちらでもない、「ラクでがんばらなくてもいい姿勢」があるのです。骨を正しいポジションに戻し、背中をゆるめてくれる「疲れない姿勢」を紹介していきます。

ラクで疲れない姿勢になる4つのポイント

人は寝ている時間以外、座っている時間と立っている時間がほとんどを占めています。

座る時間は、デスクワークはもちろん、食事や車の運転、公共交通機関での移動、ソファでくつろぐ時間も含みます。立つ時間は、レジや信号待ち、料理や洗濯などの家事、歯磨きやドライヤーをかける時間など、日常の中に細切れに存在します。

会議でメモを取るビジネスマン
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

この日常の座る・立つ時間の質をほんの少し上げることができれば、ただそれだけで筋肉はどんどんゆるんでいきます。私はこれを「日常動作の質が上がる」と表現しています。

座るときも立つときも、意識するポイントは同じです。これから紹介するのは、日常の動作がよりラクになり、より疲れなくなる姿勢です。それでは、正しい座り方をご紹介しましょう。【1】~【4】までのとても簡単なステップになります。

【1】まずは力を抜いて「腰を落とし」ラクな姿勢でいすに座ります。両手の手のひらの小指側を両足の付け根にチョップしながら、腰をゆっくりと起こしていきます。この時、お腹にも背中にも力を入れなくて大丈夫です。
【2】両腕を少し広げて外側にひねり、手のひらを前に向けます。
【3】手のひらはそのままにして、両肩を耳に近づけるように上げます。腕を後ろに下げてから自然に下ろしましょう。腕を下ろすときに、みぞおちの位置は上げたままにしてください。
【4】顔を上げて真上を見てから、あごを引きます。これで首の位置が整います。