ジャニーズ周辺の芸能人も慌ただしく動き始めた
しかし、喜多川氏の性的虐待問題を週刊文春が報道し、同誌の記事が名誉毀損に当たるとして事務所側が損害賠償を求めた訴訟で、2004年に記事の主要部分を「真実」と認める判決が最高裁で確定している。
当時ジュリー氏は30代半ばで事務所の取締役だった。喜多川氏の姉でジュリーの母親のメリー氏は、ジャニー氏の性癖について「弟は病気なんだから」といっていたという報道が過去にあった。彼女が何も知らなかったはずはない。
ジャニーズ事務所が存亡の危機に立たされているのを何とかしようという、芸能人たちの動きもあった。
4月30日に松本人志と中居正広がMCを務めるトーク番組『まつもtoなかい』(フジテレビ系)の初回ゲストとして香取慎吾が出演した。中居と香取が揃ってテレビに出演するのは、SMAP解散以来6年ぶりだという。4月21日には、稲垣吾郎が別の松本の番組に出演している。香取は番組中にこんな爆弾発言をした。
「SMAPが解散して(中略)、テレビって場所でのお仕事が減ってしまうかもしれない中でも、新しいことをやってみたいっていう方向が近かったのが3人(自身と稲垣と草彅剛=編集部注)で。中居くんはもうテレビの中でやっていきたいっていうようなお話もあったから。もうその時点でちょっとこう、あの、進む道が違うっていうか」
「うやむやになるかもしれない」という思惑が透けて見える
朝日新聞(5月10日付)は「記者レビュー」で、「フジテレビが放送したことも含め、前進だと思う」と評価しているが、私は違った見方をしている。
香取や稲垣をテレビに出そうと画策したのは松本人志だそうだ。今や「芸能界のドン」気取りの松本は、中居を抱き込み、フジテレビと話をつけ、ジャニーズ事務所に恩を売ろうとしたのではないか。または事務所側が松本に泣きついたのか。
中居と香取が一緒にテレビに出れば、スポーツ紙だけでなく、他のテレビや新聞、週刊誌も大きく取り上げるはずだ。うまくすると喜多川問題がうやむやになるかもしれない。そんな姑息な意図が透けて見えた。だが、ファンクラブの女性たちが立ち上がったことで、目論見は水泡に帰したのである。
SNS上では「#ジャニーズスポンサー不買宣言」が展開されている。櫻井翔を起用している三井不動産は週刊文春(5月4・11日号)に対して、「報道が事実だとすれば誠に遺憾。差別やハラスメントの禁止といった法令順守は非常に重要である」と回答していた。
一社でも打ち切れば雪崩を打つ。そうなれば帝国の命運は尽きる。
動きが鈍かったジャニーズ事務所の現役タレントたちだったが、ここへきて声が上がってきたと文春(5月25日号)が報じた。性虐待問題の解明に第三者委員会を設置することに消極的なジュリー社長に対して、内部から「設置すべきだ」と声をあげた者たちがいるというのだ。