金融緩和を継続し、需要喚起を続けるのが正しい選択
物価高を抑えるために「日本も利上げすべき」という声もあります。しかし、私の答えは「ノー」です。
前ページでも紹介していますが、日本のコアコアCPIは、CPIと比べるといまだに低水準です。依然として「実質GDP<潜在GDP」のデフレギャップが発生しています。アメリカは「実質GDP>潜在GDP」のインフレギャップですので、状況は異なります。
ですから、日本は金融緩和を継続し、需要喚起を続けるのが正しい選択です。「アメリカにならって金利を上げろ」と主張するのは大間違いです。
もし今の日本で金利を上げると、どんなことが起きるでしょうか。金利が上がれば借入金の金利負担が増えます。企業にとっては収益押し下げの要因となり、株価にマイナスの影響が出ます。また、資金調達コストが上がり、設備投資や昇給を見送る企業も出てくるでしょう。
個人にとっては住宅ローンや自動車ローンなどの返済負担が増えるので、需要が縮小します。預貯金がある人は利息が増えますが、高齢者に偏っているため、まんべんなく恩恵を受けられるわけではありません。