なぜ60歳や65歳で引退しなくてはならないのですか。
この質問には、人の数だけ答えがあります。誰が引退する場合も、本人、職種、会社、国等々に関わる独自の事情がありますから。しかし、議論の便宜上、あなたの質問は「S&P500」クラスの大企業における引退に関するものだと解釈することにします。その場合は、一般に2つの答えがあります。企業にはたいてい2種類の社員がいるからです。
まず、スペシャリストがいます。その人ならではの積み重ねた知識で組織に貢献する人たちです。今日では多くの人が元気で長生きすることを考えますと、これらの貴重な社員を根拠のない一定の年齢でやめさせるのは、賢明とはいえません。彼らが貢献し続けているかぎりは、仕事を続けるかやめるかを彼ら自身に決めさせるべきだと思います。
第2のカテゴリーはリーダーです。この人たちについては、第1のカテゴリーの逆を主張したいと思います。
なぜかというと、企業にはバイタリティと変化が必要だからです。企業は絶えず変化していなければ硬直してしまいます。上層部の人々が長く居座っていると、往々にしてそうなります。30代、40代の優秀な人たちは、自分のチャンスがくるのを10年も待っていたいとは思いません。新しいアイデアでいますぐ組織を活性化し、変革したいのです。そして組織はそうさせるべきです。リーダー層が代われば、組織の窓に新しい空気が入ってきて、新しいエネルギーがそこでさらなる輝きを生み出します。
60代の経営者は、十分に稼いできて経済的にも安定しているのですから、刺激的な、そしてこれまでとは別の、新しい未来に進んでいくべきです。そうすることで彼らは、自分の会社にも新しい未来を与えることになるのです。
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