作中の「メルトダウン」、「隠蔽」が想起させること

神羅カンパニーのひどさを本作は鮮烈に描く。たとえばミッドガルは、上層と下層に分かれていて、下がスラム街になっているが、神羅カンパニーはプレートを落として下の人々を大量に犠牲にしてしまう。スラム街育ちのヒロイン・ティファが、売春を思わせる仕事に従事しそうになるエピソードまである。

さらには、(オリジナルでの)ジュノンの町は、工業化による水質汚染で魚が取れなくなっている。コレルの町では魔晄炉の事故が起こり、焼き払われ、その跡地にゴールドソーサーという遊園地が作られている(現実で、公害などで汚染された場所が、観光地化されたり、そこにテーマパークが建設されたりするように)。

アバランチのリーダーであるバレットは、元はここの鉱員で、豊かになるために魔晄炉誘致に賛成し、反対者の説得をしていたが、事故により故郷が壊滅し、後悔と自責の念と怒りでテロリストになったという過去を持っている。

ゴンガガ村では魔晄炉がメルトダウンして村が失われていたり、村が焼き払われて隠蔽いんぺい工作が行われていたりと、なかなかシビアな状況が描かれている。「メルトダウン」や「隠蔽」などは、チェルノブイリなどの原子力発電所事故を思わせる。

つまり、反原発、環境テロリスト、反資本主義、反帝国主義のゲームなのである。よくこんな作品が、堂々と作られていて、ベストセラーになり、世界的な評価を得たものだなと感心してしまった。

反原発運動はFFのせいなのか

すでに述べたが、テロ組織アバランチは「星命学」という教義を信じており、これがテロをする大義名分になっている。これは、エコ・スピリチュアリズムに近い思想である。

東日本大震災と、福島第一原発の事故のあと、筆者は反原発運動に賛成し、国会前のデモにも参加し、SNSでも論陣を張った。

2011年7月16日、反原発デモ
写真=iStock.com/krestafer
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だが、ふと『ファイナルファンタジーVII リメイク』をやっていて思ったのは、「ひょっとすると自分の思想や行動も、このゲームに影響されているのではないか」ということだった。もし、そうだとすると、ちょっとゾッとしてしまう。それではあまりに安っぽいではないか。

東日本大震災後の、「国家」や「資本主義」や「帝国」に抵抗し、自然や弱者を救おうとする自分の反原発運動の動機が、記憶の彼方にある、自分に重大な影響を及ぼしたゲームの経験から来ていたら、どうなのだろうか? ヒロインのエアリスのような、無邪気で優しい無垢な女性の「イメージ」が、自然と結びついていて、それを救いたいと思ったのだとすると、どうなのだろう?

SNSを見ていると、アメリカの連邦議会議事堂を占拠するトランプ支持者たちの陽気な姿がたくさん流れてきた。コスプレをしたり、自撮りをしたり、配信で生中継をしたりしている彼らは、正義のための戦いをしている戦士として、革命の高揚感を覚えているだろう。

彼らはサブカルチャーやゲームに影響されているのではないか。政治のゲーミフィケーションではないか。彼らの「なりきり」と「勘違い」のイタさを笑うことは、翻って、自身の「反原発」革命の戦士としての行動にも降りかかってくる感じがして、ものすごく居心地が悪い。

フィクションは、人々の欲望や認識に影響を与える。そして、政治的な行動に駆りたてる。それは、自分自身を振り返って考えても、ありうることだと思われる。

そのことの意味を、しっかりと考える必要がある。