意思決定層が同質的な組織のリスクとは

第2ステップは、自社の現在地点を確認すること。「確認には外部の指標や診断テストなどを活用して」と白河さん。自社の現在地点は、男性と同じく滅私奉公的な働き方をする女性だけが活躍できる「バリキャリ期」か、女性を支援する「両立支援期」か、働き方改革で男女とも支援する「環境整備期」か、それとも男性の両立支援や女性管理職育成まで実施している「本気のダイバーシティ推進期」か。

こうした現在地点を把握できたら、第3ステップは「目的の修正・経営層の理解」。第1ステップで定めた目的を現在地点に沿って修正し、経営層の理解を得て実行に移す段階です。白河さんは「経営層の理解を得るには、女性活躍が自社の利益とどう合致するのかを言語化する必要もあります」とアドバイス。

「そして第4ステップは『すべての人の活躍のために』です。女性活躍から始めて、最終的にはすべての社員が活躍できる、すなわち真のダイバーシティ達成に至るまでのストーリーを描き出していただきたいと思います。達成できたら、そこで初めて同質性のリスクの回避やイノベーション創出に向けた環境整備が可能になります」

では、同質性のリスクとは何なのでしょうか。白河さんは、同質性は不祥事を起こす組織の特徴でもあると指摘します。内部からの批判や意義を許さない、逸脱する人を許さず合意するように働きかける、集団の外の世界が変化していることに気づかないといったことが起こりやすく、失言による炎上やハラスメントにもつながりやすいのだとか。

日本のジェンダー格差が大きい要因も「意思決定層の同質性」にあり、これはすでに経済的リスクにもなっているそうです。取締役会に女性がいない日本企業が、海外の機関投資家から女性を加えるよう要請された例もあるといいます。

「意思決定層の女性が3割を超えれば変化が生まれる」と白河さん。10人中1人や2人では、意見を意見として認めてもらえず周りに迎合せざるを得なくなりがちですが、これが3人になると初めてそれぞれの意見が可視化されるのだそう。白河さんはこう説明し、「3割は変化が起きる数字。このことをぜひ覚えておいてください」と呼びかけました。

木下明子編集長
撮影=小林久井(近藤スタジオ)