70人以上が集まる「女性部長の会」とは
【木下】御社のダイバーシティ戦略について教えてください。
【本島】MS&ADグループは、世界49の国・地域で保険金融サービス事業を展開しています。MS&ADインシュアランスグループホールディングスはその持株会社であり、私はグループ全体のD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を担当しています。
私たちは現在、社員全員が働き続けられる、活躍し続けられる企業になることを目指してD&Iを強力に推進しています。取り組みのテーマは社員の心理的安全、アンコンシャスバイアス、障害者雇用など多岐にわたりますが、特に力を入れているのは「組織の意思決定層の多様化」と、「インクルーシブリーダーシップ」の2点です。
【木下】まず、組織の意思決定層の多様化について、具体的な取り組みをご紹介ください。
【本島】意思決定層の人間が多様でないと、組織は正しい方向に向かっていきません。当グループは全社員のうち女性が約53%と比較的女性比率が高いのですが、女性の課長はいても部長や役員となるとまだまだ少数です。
そこで、まずは現在の女性部長たちの中から女性役員を育成・輩出していこうと、2019年に「女性部長の会」を立ち上げました。一人ひとりがイノベーションの担い手になる、さまざまなタイプのロールモデルになる、そうした勇気を得られる場をつくろうと考えたのです。
具体的には、年に3回ほどグループ全体の女性部長が集まって、CEOや男性役員との意見交換、他社の女性役員を招いたパネルディスカッション、経験の共有などを行っています。発足時の参加者は約50名でしたが、今では75名になりました。参加者にとっては「自分と同じ立場の人がこんなにいるんだ」という気づきの場になっているようで、孤独感が解消できた、勇気が得られたという声も上がっています。