誰もが強みを発揮できる組織へ
【木下】ほかにもD&Iに関する取り組みがありましたらお聞かせください。
【本島】2016年に特例子会社「アビリティワークス」を設立し、障害者の雇用と活躍の促進に取り組んでいます。現在、身体に障害を持つ人の雇用は各企業で進みつつありますが、精神に障害を持つ人の雇用は進んでいません。そこを打破するため、同社では精神障害を持つ社員を中心に雇用しています。
もちろん、社員は特性も必要な配慮も一人ひとり違います。皆さんに強みを発揮してもらうには、そこにきちんと対応できる環境や仕組みをつくる必要があります。今はまだ模索しながら進めていますが、将来的にはそうしたノウハウをしっかり確立していきたいと思っています。
最終的には、障害を持つ人も持たない人も、皆が働きがいをもって長く働ける環境を目指していきたいですね。マジョリティーであろうとマイノリティーであろうと、誰もが強みを発揮できる組織づくりが必要だと実感しています。
【木下】日本では、女性の役員や管理職はまだまだマイノリティー的存在ですね。一方、男性はマイノリティー経験がない人が圧倒的に多いように思います。
【本島】確かにそうですね。ただ、そうした男性がこの先も常にマジョリティーであり続けられるかと言えば、そんな保証はないわけです。病気になることもあれば、介護など家庭の事情を抱えることもあるでしょう。
現状でも、さまざまな角度から見れば誰もがマイノリティー的な部分を持っているのではないでしょうか。そうした部分への理解を、互いに深めていくことこそがD&Iの実現につながると信じています。
【木下】最後に、ダイバーシティに悩める人事関係者の方々に励ましのメッセージをお願いいたします。
【本島】ご苦労も多いでしょうが、やはり重要なのは「勇気をもって説得する」ことだと思います。何か取り組みを進めたいと思ったら、勇気を出してできる限り高い階層の人に訴えかける。そうすれば必ずスタートラインに立てるはずです。ぜひ一緒に頑張っていきましょう。
◆ご不明な点などございましたらお気軽に事務局までお問い合わせくださいませ。
『PRESIDENT WOMANダイバーシティ担当者の会』事務局(担当:名越)
woman-diversity@president.co.jp
構成=辻村洋子
1987年、一橋大学卒業後、住友海上火災保険入社。2003年、三井住友海上火災保険関信越損害サポート第一部、経営企画部次長などを経て、三井住友海上グループホールディングス企画部(CSR推進室長)。2018年、MS&ADインシュアランスグループホールディングス執行役員(ダイバーシティ&インクルージョン担当)、2021年、三井住友海上常務執行役員に就任。2018年より現職。