最低限押さえておきたいIT用語を、コミカルなストーリー仕立てで解説する。


※主な登場人物
藤井君/おっちょこちょいで新しもの好きの若者。山田部長の部下。
山田部長/凸凹食品株式会社のおとぼけ営業部長。IT系はものすごく苦手。
木村君/凸凹食品のシステム担当者。


 

「わーっ、しまった」

相変わらず藤井君が大騒ぎしている。

「月曜の出張の資料作るの忘れてた。ああ、土曜も出社だなぁ」

「でも土曜はシステムのメンテナンスで会社のパソコン、使えませんよ」と真央ちゃん。

「弱ったなあ。自宅のパソコンにはゲームしか入ってないし。スライドなんて作れないよ。部長、経費でソフト買ってくださいよ」

「バカ言え。ただでさえ予算カットで困ってるんだ。自腹でどうにかしろ」

「あっ、クラウドコンピューティングってのが使えるんじゃないですか」と小松原君が助け船を出した。「確かインターネット上でワープロとか表計算とかスライド作成の機能が使えるんです。無料のものもあるって雑誌で読みましたよ」。

クラウドコンピューティング/ソフトや処理機能、データ保存場所などを手元のパソコン内に置かずにネットワーク上に置いて、ネットワーク経由で利用する形態。パソコンの性能が低かったりソフトが入っていなかったりしても、いろいろな作業ができる。専門家がネットワーク設計図でネットワーク部分を雲の絵で表す習慣からクラウドと命名された。このようにして利用するサービス自体はクラウドサービスという。

「へえー、無料なの? それは便利だな」

「そう、自分でソフトを持たなくていいんだって。作った書類はネットワーク上に保存できるし。『ソフトは持つ時代から使う時代へ』ってことらしいよ」