テクノロジーを活用したメッセージの発信方法も編み出された。ヴァイスは、iPhoneのAirdrop機能を使った抗議運動が広がっていると報じている。

Airdropは近くにあるiPhone同士で、画像などを送受信する機能だ。互いに連絡先を交換している必要はなく、相手先の受信許可設定によっては、近くにいる見知らぬ他人にファイルを届けることもできる。

中国のソーシャルメディアで「橋」や「勇気」などが検閲対象となるなか、Airdropを使って習近平政権の幕引きを願うポスター画像を拡散し、反政府運動の拡大が図られている。

雑踏の中でスマホを使う女性
写真=iStock.com/xavierarnau
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習近平の退陣求める声、ついに党内からも

習近平政権への批判は高まる一方であり、政府対民衆という構図さえ崩壊しつつある。ついには中国共産党内からも、極端なゼロコロナへの反発が出始めた。

米国営ラジオニュース局のボイス・オブ・アメリカは、党内の革新派が仕掛けたとみられる「三反運動」がネットを席巻していると報じている。強制的なコロナ検査、都市丸ごとの隔離措置、そして国を後退させること。この3点への反意を宣言する内容だ。

海外からの反発も高まる。記事によると民主化を標榜する海外有識者らは、「習近平に退陣を迫る請願書」と題した公開書簡を発表した。コロナ発生当初の隠蔽いんぺいから香港・台湾問題までを含め、習近平政権による権力の濫用を厳しく糾弾するものとなっている。

アカウントを次々閉鎖…横断幕事件の締め付けを徹底

デモ機運の拡大に、中国共産党は神経を尖らせている。厳しい弾圧を実施し、反政府のうねりに歯止めをかけようと必死だ。

中国共産党は以前から、公の場で国家への不満を口にする人々に対して過剰なまでの罰を与えている。ブルームバーグは、2018年に中国指導者の描かれた看板にペンキをかけた女性がその後、精神病棟へ収容されたと報じている。

また、英フィナンシャル・タイムズ紙はブリッジマンの一件に絡め、不動産で財を成した任志強氏の例を振り返っている。2年前、習近平政権のコロナ対応を批判した任氏に対し、汚職容疑を建前とした18年の禁固刑が科された。

四通橋の件も例外ではなく、果敢にも横断幕を掲げたブリッジマンの身が案じられている。さらにはこの実行者のみならず、動画の拡散に協力したユーザーらも処分の対象となったようだ。

ブルームバーグによると中国テンセント社は、同社が運営するソーシャルメディアのWeChatとQQにおいて、四通橋の画像を共有したユーザーのアカウントを永久的に停止した。