第一に検討すべきは、副業

お役立ちの芽を見つける方法はたくさんあります。まだ会社に所属している人が第一に検討すべきは、副業です。会社が副業を認めている場合、知人から紹介を受けたり、発注者と受注者をマッチングするウェブサービスに登録したりして、まずは腕試ししてみましょう。また、先行プレイヤーに弟子入りして報酬ゼロで丁稚奉公をすれば、クライアントとのやり取りの手法や請求書の作成方法など、実際の独立スキルを横で見て学ぶこともできます。自分が住む地域のコミュニティや知人の会社などをボランティアとして手伝わせてもらうのもオススメです。

商売人として成功するには、この「とにかくまずやってみる」ことです。頭のなかで壮大な経営戦略やマーケティングのプランを練るよりも、小さい実地体験を着実に積み重ねていく行動力のほうが大事。最初のうちは自分が「できること」「したいこと」を決め込みすぎるのではなく、意外なオファーが来ても、まずは挑戦してみましょう。「自分はこれが強みだ」と思っていても、お客様から見たら他のスキルのほうが貴重かもしれないからです。仕事を選り好みしないことで、思わぬ頼まれ仕事が自分の商売の核になっていく可能性があります。

いまは上司やミドル層向けの研修を提供する会社を営む私も、独立当初に取り組んでいたのは若者のキャリア支援でした。転機になったのは、事業の方向性に悩んでいたときに舞い込んだ、「新入社員研修と管理職研修をやってほしい」というある企業からの依頼です。研修プログラム開発や講師なんて未経験でしたが、あちこちにアドバイスを求めながら自分なりにやってみた結果、とても喜んでもらえました。リクルートの編集長時代に培った、個々人のキャリアを応援するという視点と編集者としてのスキルが、意図せず強みとなり、お役立ちを実現できたのです。自分が何屋さんかは、お客様が決めてくれるんですね。

営業なんてできないし、行動力もないから、自分に独立は無理だ――あなたはそう感じるかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか。確かに営業は簡単ではないし、慣れない雑務も増えます。でも、そんな壁を乗り越えさせてくれる方法がひとつあります。それは、自分が本当にやりたいと思うことを見つけて、ワクワクすることです。ワクワクする気持ちは、前に突き進む原動力を私たちに与えてくれます。

「やりたいことは何ですか」と聞かれて、即答できる人は多くありません。これまで自分の仕事は会社が全部決めていたからです。自分で考える筋肉もワクワクするための感性も衰えてしまっているんですね。これを鍛え直す第一歩として私が勧めるのは、すでに独立した人や経営者の集まりに参加することです。自らの意志で行動することが当たり前の環境に身を置けば、自ずから行動力も高まっていくでしょう。