私鉄の学童保育ビジネス戦争、勃発か。3月21日、小田急電鉄が、小田急線喜多見駅に小学生対象の学童保育と塾に近い機能をあわせ持つハイブリッドな業態をスタートさせる。大手塾サピックスの運営会社などと提携してつくる、「小田急こどもみらいクラブ」だ。最大の特徴は「サピックスの学習ノウハウが詰まった通信教材を使用すること」と同社沿線事業部・中村有沙氏。学校の宿題や、遊び・イベントなどのフォローに加え、専門教育を受けたスタッフがプラスαの思考・記述・表現力を養成する仕組みだ。

「小田急こどもみらいクラブ supported by ピグマキッズ」は、今後5年で沿線に10施設できる予定。

同クラブの基本利用料は、週5日で月6万円程度。「沿線在住のキャリア志向の高い共働き世帯の親」がターゲットとはいえ決して安くはない。それでも、説明会は満員御礼だったという。

「通塾しなくても低学年から質の高い学習を受けられるのは助かりますね。学校(指定校のみ)へのお迎えや、ICカードで入退室管理もしてくれるので安心。他の習い事への中抜けや、最長21時までの延長利用ができるのも夫も私も残業が多いので最適なサービスです」と、ある30代の母親は語る。

一方、東急電鉄も100%子会社のアフタースクール運営会社が個別指導塾の明光義塾と組み、やはりそのノウハウを生かした新施設を今春開設する。

なぜ、電鉄会社が学童ビジネスか。ひとつは駅近くに施設をつくり沿線住民の利便性を向上させる狙いだろう。加えて「リーマン・ショック以降の景気低迷で首都圏の中学受験者数が減り、生き残りに必死な塾が低学年を囲い込みたい」(塾関係者)との裏事情もある。

今後、私鉄の学童ビジネスが激化すれば「私たちの学童クラブから、有名中学に◯人合格!」と宣伝されるようになったり、「あの学童に通わせたいから」とその沿線にわざわざ引っ越しをする家庭が登場したりして!?