米国次期財務長官 ティモシー・ガイトナー
1961年、ニューヨーク市生まれ。父親の仕事の関係でほとんど米国外で育つ。ダートマス大学でアジア研究学、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院修了で国際経済および東アジア研究を専攻。妻キャロルとの間に子供2人。
指名が伝わるとダウ平均株価が一時500ドル以上も急伸。市場には大きな好感を持って受け入れられた。
今回の金融危機ではニューヨーク連邦銀行総裁として、ポールソン財務長官とともに証券大手ベアー・スターンズや保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の救済など一連の危機封じ込め策を主導した。
実務家で、舞台裏で交渉を進める手腕が高く評価されてきたが、これからは表舞台に立つ。国家経済会議(NEC)委員長に指名された市場重視のサマーズ元財務長官とはやや違い、積極的な介入をいとわないことで知られ、今後2人がどういった連係プレーを見せるか注目される。
大学卒業後、キッシンジャー・アソシエーツを経て1988年に財務省に入省。クリントン政権のルービン、サマーズ両財務長官のもとで財務次官(国際金融担当)を務め、97年のアジア通貨危機などアジアや南米諸国の救済計画に積極的に関与、外交手腕も高いとされる。ニューヨーク連銀総裁に就任したのは弱冠42歳のときである。
父親がフォード財団のアジア専門家だった関係で国外生活が長く、ジンバブエ、インドなどで育ち、高校はタイのインターナショナル・スクールを出ているなどオバマ氏と重なるところがある(同じ年でもある)。日本との関わりは深く、日本と中国に留学し両国語を習得。80年代末には在日米国大使館の勤務経験があり、日本語のできる知日派としても知られる。
日本の不良債権問題を念入りに研究し、財務次官時代の98年には、日本に対し速やかな不良債権処理をすべきと主張した。現在の金融危機でも日本の不良債権問題を参考にしたとされる。海外経験の多さは新たな国際金融秩序の再編成にも生かされそうだ。