戦乱に起因するロシア国債のデフォルトは、1918年の帝政ロシア時代にまで遡る。ボリシェビキ政権によるデフォルト宣言だ。当時、ロシアは第一次世界大戦に連合国の一員として参戦していた。この戦費の調達を国債発行と海外からの融資に頼っていた。戦争の拡大に伴い調達戦費は増大し続け、財政を圧迫した。この帝政ロシア時代からほぼ100年で、ロシア国債は再びデフォルトする可能性が高い。

ロシア中銀は2月末に政策金利をそれまでの9.5%から一気に20%に引き上げ、ルーブル防衛に走った。欧米による外貨準備への制裁で、為替介入が難しくなるとの観測から、ルーブルが暴落したためだ。だが、その後の政策金利の引き上げが功を奏し、4月上旬にはウクライナ侵攻前の水準に回復した。

ロシア roubles
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ドルから人民元へ…外貨準備の中身が様変わり

だが、これでルーブルの暴落が解消されたとみるのは早計だろう。1日あたり2000億~2兆円とされる戦費はロシアの財政を蝕む。ウクライナ侵攻直前の2月18日に6432億ドルあった外貨準備は4月1日時点では6065億ドルと急減している。

その一方で、外貨準備の中身では大きな変化がみられる。今年1月時点のロシアの外貨準備高は、約6300億ドルで、クリミアを併合した14年から1.6倍に増加した。原油や天然ガスなど豊富な資源を海外に輸出して稼いだ外貨を、プーチン政権はせっせと積み上げていたわけだ。

問題はその内訳にある。1月時点でドルの占める割合は1年前の21%から11%へ半減した。対照的に人民元は1年前より4ポイント比率を高め17%に上昇し、ドルの比率を上回った。ロシア中銀は中国人民銀行とスワップ契約を結んでおり、ロシアの資金繰りを支える余地はある。だが、それも外貨準備に占める割合からみて限界的(=限定的?)だ。

かつてロシアの外貨準備に占めるドルの割合は4割強もあった。しかし、ロシアのクリミア併合後の米国の制裁を受け、ドル依存の解消が進み、20年に金の比率を下回り、今回、人民元とも逆転した。

外貨準備は金などを除き通貨の種類ごとに、当該通貨を発行する中央銀行に置かれることが一般的だ。ロシア中銀が公表している地域別の資産分布は、最も多いのが自ら管理している金で全体の22%を占める。次いで多いのが中国の17%、ドイツ16%、フランス10%と続き、米国は6%にすぎない。通貨別ではユーロが最大の34%を占める。