空間認識能力の必要性

ナビゲーション能力を含む空間認識能力が人にとって重要な能力である、ということは、進化学の視点からも示唆されています。進化の中で、道具を編み出したことが人の特徴の一つです。このとき、必要な立体的形状を頭の中で思い描き、それを作成する行為には空間的能力が不可欠です。空間認識能力は、人が進化し、環境に適応するために最も必要とされた能力の一つなのです。

感嘆符が描かれた木製ブロック
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空間認識能力の高さと将来の職業

認知能力を数量的に測定する計量心理学による天才児研究で有名なジョンズ・ホプキンズ大学のスタンリー教授やその弟子たちは、科学、技術、工学、数学(science, technology, engineering, mathematics:STEM)やその他の分野の際立った才能を持つ子どもを見つけ出し、その才能を伸ばす方法についての研究をずっと行っていました。

彼らは、子どもの頃から非凡な才能を示していた人々が、そうでない人々に比べて社会にはるかに大きな影響を及ぼしていると主張しています。たとえば、スタンリーが設立したジョンズ・ホプキンス大学主催の英才児センターでは、幼い頃から神童として有名だった数学者のテレンス・タオやレンハルト・ング、フェイスブックのCEOであるマーク・ザッカーバーグ、グーグルの共同設立者セルゲイ・ブリン、ミュージシャンのステファニー・ジャーマノッタ(レディー・ガガ)が過ごしたことがあることで有名です。

彼らの一連の研究の中で、13歳の児童563人の空間認識能力のテストを行いました。空間認識能力は、物体同士の空間的な関係を理解しているかなどを測定するために、同じ物体を異なる角度から見た図を対応させる、物体を特定の切り方をしたときの断面図を選ばせる、さまざまな形をした傾いた容器に水を入れたときの水位を見積もらせるなどの方法でテストをしています。

スタンリーらの研究では、この空間認識能力で、将来の教育や職業における業績を正しく予測できることを示しています。さらには、空間認識能力が創造性や技術革新において主要な役割を果たすことなども示唆されています。彼らの説明によると、数学や言語能力では特に高い成績をとっているわけではなくても、空間認識能力が高い学生は、非常に優れたエンジニア、建築家、外科医になるとしています。