併合時代に日本に協力的だった人を断罪する「親日清算」

「◯日」ではないので単語として並べるには違和感もありますが、「親日清算」という名の反日もあります。大韓民国の建国時点(一九四八年)からありましたが、最近の数年間で急激に強くなりました。親日清算とは、反日だと言われることに外交的な負担を感じた韓国の政治家、自治体長たちが流行らせた言葉で、反日とは言わず、あくまで韓国内で併合時代に日本に協力的だった人、いわゆる「親日人士」を見つけ出して、いまからでも断罪するという概念です。

白人の怒りと積極的な男の拳と脅す
写真=iStock.com/Andranik Hakobyan
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例えば、韓国の現代史に功績を残した人でも、併合時代に日本に協力した記録などが見つかれば、その人の記念碑を撤去したり、記念碑の隣に「この人は民族に罪を犯した」とするプレートを作ったりします。韓国の一部の鋳貨に使われている偉人の肖像画も、親日だった人が描いたとして、変更することが決まっています。反日とは言わず親日清算と言っているだけで、中身は「日本こそが元凶」という考えから始まっており、ほとんどは各自治体や市民団体の反日運動にすぎません。

本稿ではこれ以上は取り扱いませんが、その矛先が子孫にまで向けられることも少なくなく、親日という名の連座制のような、そんな雰囲気になっています。戦後北朝鮮でも似たような雰囲気があったと聞きます。親日清算は、ほとんどの韓国民から絶対的な支持を得ていますが、学者の中には、「すでに韓国は独立国なのに、なんで独立運動家を演じているのか」と皮肉る人もいます。

手段を選ばず日本に被害を加えたい「嫌日」

「小学生に『日の丸に唾を吐く絵』を描かせる……韓国の徹底した反日教育のおぞましい内容」の絵のように、とにかく無条件で日本が嫌いで、手段と方法を問わずに日本に被害を加えたい、日本が被害を受けてほしい、そういう極端な反日思想を、「嫌日(ヒョミル、혐일)」とします。この単語は結構マイナーで、個人ブログ、または一部のネットメディアでたまに目にします。

韓国は、「日本は、韓国に対して悪い感情を持つ理由がまったくない」と思っています。少なくとも日韓関係においては、韓国はただ被害者なだけなので、絶対善のような「無謬さ」を持っていると信じているからです。よって、日本が韓国と違う意見を出すと、例えば「竹島は日本の領土だ」と話すだけでも、韓国はそれを「嫌韓助長」「韓国叩き」などに分類します。

韓国民が一般的に持っている「嫌韓」というもののイメージも善悪論に基づくものです。「嫌」されるようなことではないのに、一方的に嫌われ、被害を受ける、それが、韓国が漠然と抱いている「嫌韓」のイメージです。実は嫌韓にもいろいろあって、確かに犯罪に走ってしまう人もいますが、ほとんどの場合は「嫌」というより、「失望した」「関わりたくない」などの感情に近いですが、善悪による二分法に慣れている韓国としては、そこがよく理解されていないようです。

よって、先のポスターのように、韓国内でも多少は賛否が分かれるような事案に対しては、「(嫌韓に因んで)嫌日ではないのか」とする人たちがいます。