戸籍謄本から登録事項別証明書へ

次に本人の姓名と生年月日、住民登録番号、性別、本貫が掲載されている。本貫だけが漢字記入となっている。あとは全てハングル。本人の下には両親や配偶者、子どもなどの家族について、それぞれ一行ずつ同じ内容が記入されている。

また従来の戸籍謄本では一通に全てが書き込まれていた内容が、新しい登録事項別証明書は用途別に5種類になっている。例えば自分の婚姻関係の証明が必要な場合は、それだけを請求すればいい。未婚者の場合はそこは白紙になっている。

従来の戸籍謄本だと、必要のない事項まで全て出てきてしまったが、それもなくなった。セキュリティー面は戸籍時代より強化されており、取り寄せは親子、夫婦のみに限定されている。

制度が変更されて10年になるが、過去の戸籍制度に戻そうという声は出ていない。こちらの方が用途に応じた活用がしやすいのだろう。そもそも日本にしろ、韓国にしろ、戸籍が必要になる場面はそれほど多くない。特に韓国の場合は、大抵のことが住民番号という13桁の個人番号で処理されるので、すでに個人登録のベースは出来ていたともいえる。

「入籍」ではなくなった「結婚」

日本では結婚することを「籍を入れる」という言い方をする人がいる。「式はまだだけど、入籍は済ませた」という話も聞くことがあり、結婚=入籍というイメージが強いようだ。ただ日本の場合、実際には親の籍から抜けて「新しい戸籍を作る」という作業になるため、「籍を入れる」という言葉は少し違和感がある。

韓国は戸籍があった頃から、「入籍」という言葉は使われることなく、「婚姻申告をする」(婚姻届を出す)という言い方が一般的だったと思う。でも実際には、韓国こそが「入籍」だった。女性が男性の籍に入るというのが、法的なルールだったのだ。それが「憲法が保障する両性の平等に違反する」「ならばもう戸籍なんかやめてしまおう」となったわけだ。

戸籍がなくなった今は「入籍」もなく、個人の家族関係登録簿に「結婚」という事項が追加される。そして配偶者欄に相手の名前と住民番号などが加わる。これは相手の側も全く同じだ。結婚届を出したことで、それぞれの配偶者欄に新しい記述が加わるだけだ。

では、子どもが出来たらどうなるのか?

実はそこに少々問題がある。