優秀な人が辞めてしまう「ヌルい職場」

心理的安全性という言葉から、人によっては想像されやすい「ヌルい職場」です。つまり、クオリティの低いアウトプットでも怒られず、納期も厳しくない職場は「心理的安全性は高いが、仕事の基準が低い」時に起きます。ヌルい職場になってしまうのは、心理的安全性が低いためではなく、仕事の基準が低いことが原因です。

心理的安全性は高いので、人々はお互いに意見したり、協力したりします。そして楽しそうに仕事をするのですが、仕事の基準は低いので、納期がただズルズルと伸びていったり、目標未達が続いても特に手を打たなかったりと、「ま、このくらいでいいか」というフレーズが人々の頭に浮かぶ組織・チームです。

このような「コンフォートゾーン」にいるとき、確かに仕事は大変ではないのですが、仕事そのものから得られる充実感はあまり感じられません。成長志向のビジネスパーソンは危機感を覚え、転職を考え始めるかもしれません。

事なかれ主義へと落ちていく「サムい職場」

同じように、「仕事の基準」が低いまま、心理的安全性も低くなった「心理的安全性が低く・仕事の基準も低い」カテゴリを見てみましょう。

このカテゴリは、心理的安全性が低いため、「チームの成果のためや、チームへの貢献を意図して行動すると、罰を受けるかもしれない」というリスクある職場です。その上、仕事の基準も低いため、そのリスクを冒してまで他者と積極的に関わる必要がない、というお互いに無関心なカルチャーの職場です。

組織・チームに必要な意見の対立や相違が、この「サムい職場」では起きず、所属する人々は事なかれ主義へと落ちていきます。

成果を出すことよりも、仕事をしているフリをすることや、失点をつつかれない為に自分の弱さを隠すことへ注力し、言われたこと以上の仕事はしません。いわゆる「親方日の丸」だったり、B2Cで市場の独占・寡占が成立して「ウチは絶対に潰れない」という認識が強く、成果へのプレッシャーが低いと、このような「サムい職場」や、一つ前の「ヌルい職場」になりがちです。