「基本的信頼」がない人は不安ばかり感じる
自己価値感(自分に価値があるという感覚〕が低くなり、たとえば、話している相手やパートナー、上司、あるいは知り合ったばかりの人が自分のことを本当に好ましく思っているか、自分を快く受け入れてくれているのか、つねに懐疑的になります。自分のことを心から好きになることができず、不安ばかり感じ、人間関係をうまく築いていくことができません。基本的信頼感が育まれなかったために、自分自身の中にしっかりとした心の支えがないのです。
その代わり、他者から自信と保護と安心感、いわば、心の拠りどころを与えてもらおうとします。パートナーや仕事仲間だけでなく、サッカー場やデパートなどにも心の拠りどころを求めるようになるのです。
でも、そのような人や物から心の拠りどころを感じられるのはほんの一時的であるため、求めても毎回、がっかりすることになります。そのような人は気づいていないのです。「自分の心の中に拠りどころを持っていない人は、外の世界でも拠りどころを見つけることはできない」ということを。
経験は「無意識」に刷り込まれている
このように、遺伝的素質だけでなく、子ども時代に刷り込まれた事柄も、私たちの性格と自己価値感にとても大きな影響を与えます。心理学では、その影響を受けた人格部分を「内なる子ども」と呼んでいます。すなわち「内なる子ども」は、親など身近な人との経験を通じて刷り込まれた事柄(悪い刷り込みと良い刷り込み)の集合体なのです。
子ども時代の経験のほとんどは、顕在意識ではなく無意識(潜在意識)の中に保存されています。ですから、「内なる子ども」は“無意識の中の中核部分”であるともいえます。そこに、子ども時代に感じた不安や心配、苦しみ、それに、あらゆるポジティブな刷り込みもあるのです。