ヒラメ社員をやっつける方法②「360度評価」
ヒラメ管理職への対処法として、もうひとつ推奨したいのは、部下が上司を評価できる「360度評価」です。
360度評価とは、ある社員に対して、直属の上司だけでなく、同僚、部下、他部門の関係者など、さまざまな人が、あらゆる角度から人事評価を行う手法です。
ヒラメ管理職の場合は、直属の上司の評価だけが高く、部下からの評価は、総じて低くなります。下に厳しく上にへりくだるヒラメの実態が明確に「見える化」されるので、管理職として問題があることを白日のもとにさらすことができます。
この結果を、ヒラメの上司に見せれば「あなたは5点つけていますけど、他の人はみんな1点ですよ」「評価しているのは、あなただけですよ」と、ヒラメの上司にもプレッシャーをかけることができます。
実は360度評価の「本当の主役」はヒラメの「上司」なのです。ちゃんと見てないことが、如実に表れるからです。
この360度評価は、私の会社にも問い合わせが多く、たくさんの企業が導入しています。ヒラメ管理職の対処法としても大変有効な方法です。
怖いほうに立ち向かったほうが長い目で見たら得をする
下に厳しく、上にへりくだる。ヒラメ管理職はいつの時代もいますし、いなくなりません。会社に限らず、「客だから」「お金を払っているんだから」と言って、タクシーの運転手さんに厳しく当たる、飲食店でいばり散らすなど、立場の弱い人に対してひどい態度を取るような人は、そもそも人間としてダメでしょう。
本当に偉い人ほど、誰に対しても、きちんと挨拶するなど、公正な態度を取っているものです。そういう態度は、必ず誰かが見ています。上には厳しく、下には寛容に。目指すべきは、こちらでしょう。
怖いほうへ怖いほうへ立ち向かっていったほうが「あの人は、上に対しても、ちゃんとモノを言う人なんだ」と評価され、長い目で見たらトクです。
それで左遷されても責任は取れないので、あくまで私の個人的な意見ですが、上に意見して冷遇されるような会社なら、辞めたほうがいいです。ヒラメの温床になるような組織では、安心して働くことはできません。
世の中には、社長に逆らったとか、異議申し立てをした社員でも、クビにせず、逆に評価してくれる会社もたくさんあります。そういう会社を見つけましょう。
下に厳しく上にへりくだる社員は、どんな組織にも必ずいますが、周りもみんなわかっています。気づかないのは本人だけ。いつか必ず報いを受けます。
早急に解決したい場合は、人事に相談して、組織サーベイや360度評価を実施してもらい、事実を白日のもとにさらしましょう。それが、あなたのためにも会社のためにもなります。
「人事の学校」「人事プロデューサークラブ」主宰。1965年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。いすゞ自動車労務部門、リクルート人材総合サービス部門を経て、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)にて人事部長、クリエイターエージェンシー業務を行なうクリーク・アンド・リバー社にて人事・総務部長を歴任。著書に『人事の超プロが明かす評価基準』(三笠書房)、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)などがある。