上しか見てない「ヒラメ管理職」は、会社にとってもリスク

下には厳しく、上にはへりくだる。自分より立場が上の人には、ゴマをすったり、ご機嫌を伺っているけれど、部下の気持ちは一切考えない。

上しか見ていない、いわゆる「ヒラメ管理職」は嫌われる上司の典型ですが、私たち人事にとっても困った存在です。

ヒラメ管理職は、上には取り入って可愛がられたりしていますが、部下の評判は最悪。その部署だけ、人がどんどん辞めてしまったり、部署異動の希望者が多かったりします。

パワハラやセクハラを起こすのも、だいたいヒラメ管理職です。上しか見ていないので、下には平気で暴言を吐いたり、無茶な仕事を押しつけたりします。ただ、パワハラやセクハラが発覚すれば、やっつける口実ができるので、人事としては懲戒処分などの対応ができます。

問題なのは、目に見えない部分でパワハラやセクハラをしたり、そんな上司に嫌気がさした社員が、会社を去ってしまうことです。

パワハラやセクハラは、会社が法的責任を問われる場合もあります。下に厳しく上にへりくだる社員は、会社にとってもリスクです。ここでは、そんな「ヒラメ管理職」を撃退する方法をお伝えします。

有毒で無能な労働者
写真=iStock.com/Andrii Yalanskyi
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ヒラメ管理職をやっつける方法①「組織サーベイ」

ヒラメ管理職は、会社にとっても大きなリスクですから、人事は、かなり注意して見ています。

「うちの上司、なんとかしてくださいよ!」

そういう相談も受けますし、噂レベルの情報もたくさん入ってきますから、社内の誰が「ヒラメ」なのか、ほとんど把握しています。もちろん、なんとかしたいとも考えています。

ただ、ヒラメの上司に伝えても、「えっ、そうなの?」みたいな反応をされることが多く、あまり取り合ってもらえません。ヒラメは、上司からは「愛いやつ」と可愛がられているので、まずはヒラメの上司に理解させることが重要です。

そこで有効なのが、「従業員満足度調査」などの組織サーベイです。

組織サーベイとは、自社のパフォーマンスを向上させるために、現状の組織の問題点や改善点を把握し、適切な対処をするための調査のことをいいます。例えば、社内アンケートを取れば、社員の率直な意見がわかります。ヒラメ管理職については当然、厳しい意見が集まります。

「まずいですよ。このままだと、この人に部下を預けられないですよ!」
「どうしますか? 部下がどんどん辞めちゃいますよ!」

と、そのアンケートをヒラメの上司に見せて伝えれば、さすがに理解してもらえることが多いです。

それでもダメな場合は、上司の上司や社長に相談することもできます。

また、ストレスチェックを使った組織サーベイも効果的です。ヒラメ管理職の部署は、部下のストレスが別格に高かったりするので、職場の雰囲気やマネジメントの実態がわかります。組織サーベイは、感染症対策やリモートワークによる職場のコミュニケーション不足やマネジメント不全の改善のために、今、非常に注目されています。

ヒラメ管理職をあぶり出し、やっつけるためにもおすすめです。