ジャック・ウェルチ Jack Welch●1935年、米国マサチューセッツ州生まれ。マサチューセッツ大学卒業後、イリノイ大学で博士号を取得、ゼネラル・エレクトリック社入社。副社長、上席副社長を経て、副会長に就任後、最年少の会長兼最高経営責任者となる。「フォーチュン」誌の「20世紀最高の経営者」に選ばれた。(写真=Getty Images)

一言で言えば、次の10年には、グローバル競争がますます激しくなります。経営者は自社をより機敏で、生産性が高く、進んだ技術を持つ組織にするよう努めなければならないでしょう。

それは以前から言われていることだとおっしゃるでしょうね。私たちもそう思います。ほとんどの企業は、ビジネスというゲームを根底から変えるほどのグローバル化に対処することに、過去数年を費やしてきたのですから。

では、「未来の大きな懸念リスト」に加えるべき本当に新しい問題とは何でしょう。最近参加したアメリカ、東欧、中東、インドの企業幹部との小規模な討論会に基づいて、3つの問題を挙げたいと思います。

最大の問題は、多くの国の経済で大きな割合を占める同族会社に関するものだと思います。同族会社というものは、固有の強みを持っています。社員に家族のような仲間意識や帰属感を与え、会社に対する愛着心を生み出すことができます。また、厳しい時代においても、寛容でしなやかな企業文化を維持することができるでしょう。

しかし、私たちは、多くの同族会社の土台の下で問題が拡大しているのを感じています。最大の理由は、同族会社が伝統的に「富の蓄積」ではなく「富の保全」に重点を置いてきたことと関係があります。その「資産を守る」という姿勢は、もっと単純な時代にはうまくいったかもしれませんが、生き残るためにリスクを取り成長することが必須となっている今のような環境では、悲惨な結果を招きかねません。