仕事・経済

景気は最悪期を脱し、09年後半にかけて回復の兆しを見せている。しかしアンケートを見ると、景気回復はビジネスマンの年収には反映されていない。年収が増えたと回答したのは、わずかに2割弱。年収が横ばい、もしくは下がったと回答した人は、8割にのぼる。これは単に景気回復が給与に反映されるまでのタイムラグの問題なのか。経営コンサルタントの小宮一慶氏は懐疑的な見方だ。

「すでに景気が回復した新興国が鉄鉱石を買い始め、世界的な資源高が起き始めています。一方、日本は消費者物価指数が4カ月連続で過去最大の下落率を記録したようにデフレに突入。資源を輸入して工業製品を輸出する日本にとって、これは最悪のパターンです。実は資源インフレと工業製品デフレの同時進行は、07年にも起きていました。このときも企業は利益を確保するために従業員の給与を下げた。10年は07年のデジャブ。企業の業績が回復しても、給与の伸びは期待しないほうがいい」

図1/図2/図3
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図1/図2/図3

企業が利益確保に走ると、わりを食うのは中間管理職だ。先の年収についての質問では、部長・次長~係長・主任クラスの約半数が年収減と回答。その一方で仕事量は増えている。不況による職場への影響を尋ねると、「仕事量の増加」と回答した割合は、中間管理職でいずれも3割を超え、他の職位層を上回った。実際、この層は残業時間が長く、その多くがサービス残業だ(図1、2、3)。

「大企業の多くは課長クラスから非組合員で、企業は残業手当を気にせず仕事を押し付けることができます。待遇に不満を持ったとしても、このクラスは年齢的に転職が難しい。仕事量が増えているのに年収は減るという矛盾に直面しても、いまの会社で頑張るしかないのです」

中間管理職世代は年収が減る一方で、子供の教育費や住宅ローンなど支出はピークを迎える。帳尻を合わせるために副業への関心は高いが、意外なことに、実際に副業を行っている人の割合は低所得者層と高所得者層で二極化し、中間管理職が多くを占める年収700万~1000万円層は、平均を下回っている(図4)。中央大学文学部教授の山田昌弘氏は、この現象を次のように読み解く。

「低所得者層ほど副業探しに一生懸命ですが、逆に高所得の人ほど、セミナーや業界団体の仕事といったオファーが向こうからやってくる。ちょうどエアポケットに入り、それなりに副業への関心はあってもチャンスが少ないという状況に置かれているのが中所得者層でしょう」