いつ、どの銘柄を買うかはあまり重要ではない

これから投資を始める人にぜひ知ってほしいのは、長期的に分散投資をする場合「いつ買うか」「どの銘柄を買うか」はあまり重要ではないということです。それよりも大事なのは、アセットアロケーション(資産配分)なのです。リスクやリターンといった運用成果に与える影響のうちアセットアロケーションが7~8割を占め、銘柄選択やタイミングが与える影響は2~3割にすぎないという研究結果が複数あります。

ですから、投資を始める前にまずは資産配分を決めることが重要です。では、資産配分とは何かというと、国内株式、海外株式、国内債券、海外債券、金、不動産、現金などの各資産クラスにどのくらいの資金を配分するかを決めることです。生活防衛のための資金を除いた余裕資金をどう配分するかをまずは考えましょう。

投資信託のポートフォリオを示す円グラフ
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最初は現金(無リスク資産)とリスクに晒していいお金の割合を決め、次にリスクに晒していいお金を株や不動産といった各リスク資産どう配分していいか決めます。現在の金利などを考えると「現金(無リスク資産)+株式(リスク資産)」といった配分が個人的にはお勧めです。

たとえば、1801年に米国株式市場に投資した1ドルは2006年には1270万ドルにまで増えていました。株式は短期的には上下を繰り返しながらも、長期的には他の資産を大きく上回るリターンを投資家の手に残しました。長期的に使う予定のないお金は余裕のある範囲で株式として持っておくのは良い選択肢だと考えます。

「積立投資」は機会損失につながる可能性がある

実際に投資をする際には、「積立投資」がいいと言われますが、注意点もあります。それは自分が目標とする資産配分に到達するまでに時間がかかることです。

たとえば、Aさんの考える理想的な資産配分は株式80%、現金20%だったとします。Aさんの手元に300万円あるとすればそのうち240万円程株式に配分することになります。ここで毎月3万円ずつ投資をしていくと、すべての資金を投資に回すのに6年半以上かかります。Aさんの目標とするリターンや許容できるリスクより低い状態が何年も続くことになり、その間の市場の上昇がもたらす利益を取り逃がしてしまうことにもつながります。

積立投資はドルコスト平均法の効果によって、リスクを軽減できるといわれます。しかし、それは手元の現金を株式に配分するのを遅らせているだけとも言えます。市場は上昇するか下落するかはわかりませんから、特別有利とはいえない方法だと私は考えています。また、資産形成後期になると購入価格を下げる効果は薄れます。

余裕のある方は、まずは一括投資でアセットアロケーションを完成させて、それを維持するのが合理的ではないかと思います。しかし、その後に追加投資やさらに積立投資をすることは悪いことではなりませんし、一括投資が怖いという方や資金がないという方は無理せずに余裕のある範囲でドルコスト平均法を使って積み立てていくのが良いと思います。