敗者復活を認める「半年ルール」
「企業は人なり」。創業以来約40年、私はこのような固い信念をもって加賀電子の経営に当たってきた。
当社は独立系のエレクトロニクス商社として、単一の商品に頼らず、ものづくりや設計の手伝いまで頼まれれば何でもやってきた。いま当社が世界中に拠点を持っているのも、急速に海外展開を進める顧客企業の要望にお応えしてきた結果である。
だが、それができたのも対応できる社員あっての話。したがって、私はリストラ(人員整理)を考えたことなど一度もない。むしろ経営者の最大の仕事は、社員にいかに働きやすい環境を提供するかにあると思っている。
当社は第一次石油ショックなど一時期を除き、右肩上がりで成長してきた。前期こそ世界同時不況の影響で売り上げがダウンしたが、将来についてはそれほど心配していない。
技術革新が激しいエレクトロニクス業界で40年にわたって成長を続けてこられたのも、創業当時から新技術・新商品に探究心や好奇心旺盛な社員が多く、市場の変化にいち早く対応できたからだ。
加賀電子では社員が「新事業をやりたい」と提案したら基本的に「ノー」とは言わない。当人に自分でやらせる。上役が企画してやらせるより、そのほうが成功する確率が高いし、失敗したとしてもその経験は必ず生きる。
あるエンジニアが、米国シリコンバレーに会社をつくったことがある。当時、米国ではパソコンのモニターは売りっぱなしで、壊れても修理するところがなかった。