2~3年で訪れる「反抗期」

ところが、2年でこんな急成長を遂げた彼女も、実はプロジェクト開始から1年ほど経った時期に反抗期が訪れていました。

自分が考えたことに対して先輩から意見されたり、否定されたりすることがイヤでたまらなかったらしいのです。

子育てをしていると2~3歳くらいで自我に目覚め、何でも自分でやりたがって親の手出しを嫌がるイヤイヤ期が訪れます。子どもはそうやって、できないながらも自分でやりながら成長していくのです。

まさに働き出してから2~3年目の若手社員にも同じことが起こったのでした。そのとき、われわれはできるだけ彼女のやり方を見守り、手助けが必要だと思われるときだけ手を出すようにしました。

反抗期は人材育成に欠かせないもの

「自分がこれを知りたい、こう仕事を進めるべきだ」と主張できるようになること。

寺澤 伸洋『40歳でGAFAの部長に転職した僕が20代で学んだ思考法』(KADOKAWA)
寺澤 伸洋『40歳でGAFAの部長に転職した僕が20代で学んだ思考法』(KADOKAWA)

これが自我の目覚めです。今から振り返ると、社会人2〜3年目にそうした仕事での自我が目覚めるのは自然なことで、そこで自分でやってみて成功するなり、うまくいかない体験をしたからこそ、最終的な成長があったのだと思います。

何も自分の頭で考えることなく、言われたとおりのことを言われたままに何年もやっていたら、社会人としての成長はまったくなかったでしょうから。

新入社員の時期から反抗期、そしてすごく成長した姿を見て、後輩は本当によくがんばってくれたなと思います。

一緒にプロジェクトをやっていた先輩ふたりが今はどちらも近くにいなくなってしまい、これからは彼女自身が新しい誰かを伸ばすプロジェクトを立ち上げる番になるかもしれません。そのときはぜひ、目的や全体像から仕事に向き合うように導いてあげてほしいなと思います。

【僕が伝えたいこと】
・教える相手に目的や全体像を把握してもらうように努めること
・教える相手の理解度をきちんと把握し、わかっていないようなら何度でも教えてあげること
・何度でも聞ける環境を作ってあげること
・教える相手に自我が目覚めたら、成長している証拠であること
・教える相手に自我が目覚めたら、できるだけ相手のやり方を尊重し、成功や失敗を自分の手で感じてもらうこと