同時にもう一つ大きな話題になったのが、松山選手を支えた早藤将太キャディーのお辞儀だ。

アメリカ人が深く感動したワケ

試合後、早藤キャディーが記念のため最終ホールのピンから旗を取った後、帽子を脱いでコースに一礼する姿が、ニュースで報道されネットでも広く拡散された。日本の報道では「日本人らしい礼儀正しさが評価された」という言い方をされているが、アメリカ人にはもっと深いところに響いたようだ。

普段はお辞儀の習慣がないアメリカ人には、彼のお辞儀はピュアなリスペクトの表現そのものに感じられた。ソーシャルメディアでは、ゴルフへの深い愛と感謝、リスペクトを感じて涙が出たといった反応が続出している。

またCNNの電子版記事では、このお辞儀こそが、日本人の悲願をついに実らせた松山選手の勝利を象徴していると書いている。

ウォール・ストリート・ジャーナルも同様に、歴史的な勝利の象徴としてお辞儀に触れているが、それが選手ではなくキャディーから出たことに注目している。

前述したが、選手とキャディーはあくまで主従関係というイメージを持つ人も未だ少なくない。主役ではない彼がこうした美しい態度を見せたことが、アメリカ人が深く感動した背景につながっていると思う。

ゴルフ
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人種問題に苦しむ中、他人事ではなかった

タイガー・ウッズ氏は「彼の勝利は歴史的なものであり、ゴルフの世界全体への大きなインパクトになるだろう」とツイートした。

アフリカンアメリカンとアジアの血を引くタイガーが、ゴルフを通じて世界を変えたように、松山選手の存在もすでにゴルフを超えて、アメリカという国を変える1つのきっかけになっている。

英ガーディアン紙米国版はこうコメントしている。

「確かに松山は日本人だ。でも多くのアジア系移民の苦難の歴史の後、アメリカが今後広い心で暖かく人々を受け入れる国であるためには、マイノリティーがもっと活躍する場面を世に送り出していかなければならない。そういう意味では、松山がアメリカ人でもそうでなくても関係ない」

映画の主人公であれ、スポーツスターであれ、まだまだマイノリティーは非常に少ない。これからはあらゆる人種や国籍の才能が脚光を浴びることが必要不可欠というのが、ダイバーシティを重んじる今のアメリカの考え方だ。さらには大坂なおみ選手のように、プレーするだけでなく、差別を否定する態度を見せる者に対するリスペクトはとても高い。

多人種社会として苦しみながらも前に進もうとしているアメリカにとって、日本人である松山選手の優勝は決して他人事ではないのだ。

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