着眼点1.企業戦略の意図を読み解くことが賢い消費への近道
何が言いたいかというと、企業が提供する商品サービスは常に進化しており、その動きにキャッチアップしておけば、つねに経済的に有利な選択ができるようになるということです。
楽天モバイルは「私の場合」であり単なるわかりやすい一つの例にすぎず、「楽天モバイルだからどうこう」ではなく、各人の状況に応じてNTTドコモでもソフトバンクモバイルでもどこでも選べばいいのです。
目先の具体例に惑わされるのではなく視点を上げて抽象的に思考し、「では自分の家計、あるいはモバイル環境の快適性と経済性を最も有利にするにはどうすべきか」に思考を向ける必要があります。
私たちは会社に行けば、「いかに自社が儲かるか」を考えながら働いています。反面、一歩会社を出れば、生活者として賢い消費をしようとします。会社員としてはいかに消費者に財布を開かせるかに知恵を絞っていますが、生活者としては、いかに安く買い物をするかに知恵を絞っています。
つまりまったく逆の行為をしているということですが、視点を変えると、私たちが企業人として創意工夫をし、マーケティングや商品開発を進化させればさせるほど、消費者としての生活も進化することになります。
たとえば無料お試しサンプルや新商品のサンプルサイトも乱立していて、タダもしくは格安で買うことができますが、これも顧客リストを集めて後々のセールス活動に利用したいという企業の思惑だ、というのはおわかりいただけると思います。企業の戦略に乗ってカモになるのではなく、戦略とその意図を知れば、逆手に取って有利な消費をすることができるのです。
着眼点2.商品のライフサイクル全体でのコストを考える
また、プリンターを売る企業は、本体価格を安くしてトナーなどの消耗品で儲ける、という話は聞いたことがあると思います。ウォーターサーバーも、サーバーは無償で提供して水そのもので儲けるという販売手法です。
これは企業にとっては儲けの法則です。初期投資が安いから手軽に導入できますが、トナーや水そのものはちょっと割高。でも長期間利用してくれるから、安定して儲かるのです。
しかしそれと裏返しに、それを利用する側にとってはお金を失いやすい法則とも言えます。そこで、ライフサイクル全体での総コストを考慮して、その出費の合理性を判断するようにします。
たとえば戸建住宅を建てるとき。最近人気のローコスト住宅は、確かに初期投資は低いのですが、10年単位で修繕が発生します。特に2階建て以上なら足場を組んで外壁の洗浄やら防水をしなければならないので、結構高くつきます。
そこでわが家では、初期費用は若干高いですが、メーカー公表で30年間メンテナンスフリーという、特殊コーティングを施した外壁材を選びました。
つまり、「初期投資+生涯の修繕費」を計算したとき、後者のほうが安く上がるのではないかという判断です。トイレも廉価な一般品ではなく、値段は高いですがエアー排水の超節水タイプを選びました。これも「初期投資額+ランニングコスト(水道代)」で20年間使った時、いったいどちらが安いのかを考慮した結果です(20年使えるかどうかはわかりませんが)。