新型コロナウイルスは、不必要な仕事もあぶり出した
新型コロナウイルスは、このようにシット・ジョブとしてのエッセンシャル・ワーカーの存在を明るみにしました。他方でそうした必要不可欠な仕事があるということは、反対にそうでない仕事、不必要な仕事が存在するということも同時に明るみに出したということにならないでしょうか。
それがつまり、ブルシット・ジョブであり、これまで語ってきたような、9割のいらない中間管理職のことなのです。
新型コロナは、日本の雇用形態を大きく変える一大事件
新型コロナウイルスの流行により、テレワークや在宅での仕事が一般的になってくると、そもそも中間管理職とはどんなものなのか、本当に必要なのか、という疑問が必ず出てくると思います。そうすると、これまで述べてきたような、中間管理職の実態、不必要な中間管理職のリアルというものを、多くの人が理解するようになるのではないでしょうか。
こんなに無能で役立たずなのに、給料は人一倍もらっているような集団が、山ほどいた。それにようやく気がついたとき、次にどうすべきかというと、不必要な中間管理職と企業の経営の問題を今後どうしていくべきかが大きな課題になるはずです。これまでの日本企業の雇用制度、すなわち毎年、新卒の新入社員を採用し、終身雇用で年功序列化していく旧来のシステムでは、ただ不必要な中間管理職を増やすだけです。
中間管理職の9割がほぼ不必要だとわかってくると、こうした雇用形態の全てを抜本的に改革していかなければならなくなる。その意味では、新型コロナウイルスなどをきっかけにして明らかになった事実は、極めて重大な、一大事件だと私は考えています。
1966年東京大学経済学部卒業、東レ入社。2001年、東レ同期トップで取締役。03年より東レ経営研究所社長。10年より佐々木常夫マネージメント・リサーチ代表。