リモートワーク中も雑談を

「ワン・オン・ワン」に関連してグーグル社で重視しているのは、個人とチームの「OKR」です。これは、「Objective&Key Result」、つまり目標と結果のことです。それはチーム全体の一律した目標と成果ではなく、あくまでもひとりひとりの個人に向けて設定するものです。

佐々木常夫『9割の中間管理職はもういらない』(宝島社新書)
佐々木常夫『9割の中間管理職はもういらない』(宝島社新書)

目標と目標達成のための具体的指標、また目標管理を、たとえば四半期ごとに組織と個人とのOKRを設定し、仕事の意味やプロセスを明確にしていくことを重視する。

そして、そのためには、上司は彼個人の信念、価値観をきちんと把握しておくことが重要です。だから、グーグル社では質の高い雑談を実践しているのだと言います。

新型コロナウイルスによってリモートワークや在宅勤務が増えると、どうしても雑談の機会が失われてしまいます。しかし、エンゲージメントを上げるために、部下との信頼関係をきちんと作るには、グーグル社で実践するような質の高い雑談が重要になってくるのではないでしょうか。

リモートであってもあえて、雑談をすることが大事だと思います。

「中間経営職」としての中間管理職

このようにみてくると、私は今後、生き残っていく1割の中間管理職は、やはりよりクリエイティブに、新しい価値を生み出すようなタイプでなければいけないと考えます。

それはつまり、旧来の中間管理職という役職から、はみ出た存在にならなければいけないと思うのです。

これは、まさに経営者的な視点を持った「中間経営職」です。常にひとつ上の視点から組織と個人、ビジネスを見て、考えることができる。委託された権限の範囲内で、適時的確に判断して、決断ができる。

かつての中間管理職というのは、なかには「組織のなかで出世しようと思ったら、できるだけなにもしないことである」なんて言った人もいるらしいですが、まるで真逆だったのです。

つまり、適時的確に決断をしないことが推奨されていた。決断するとどうしても責任が問われますし、意見が異なれば反発も起こるので、なるべく和をもって乱さないようにしていた。それが今までの中間管理職が生き残るコツだったのですが、これからはそうはいきません。旧来のままであれば、やはりそれは9割のいらない中間管理職だと思うのです。