週に1回は「1on1(ワン・オン・ワン)」を実践する
コラボレーション力とは、言い換えれば、コミュニケーション力と呼んでもよいかもしれません。人と人を掛け合わせる、コラボレートすることで、組織の力を何倍にも高めることができるような人物のことです。
そのためにはなにをすればよいのかというと、これはエンゲージメントを高めるためにも重要なのですが、最低、週1回は部下と1対1でミーティングをする時間を持つことだと思います。
これは「1on1(ワン・オン・ワン)」という考え方・方法で、グーグル社で人事戦略を担当したピョートル・フェリークス・グジバチ氏が提唱したものです(『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』朝日新聞出版より)。
グーグル社では、マネージャーとチームメンバーとの1対1のミーティングである「ワン・オン・ワン」を義務化し、個人面談でのコーチングを実施していました。
そして、よい「ワン・オン・ワン」ができないマネージャーは、たとえどんなにチームの成果が上がったとしても、そのマネージャー自身の評価は下がる仕組みになっているのだそうです。
中間管理職の仕事とは、基本的にはそれに尽きるのではないかと、私は思っています。部下の時間を邪魔せず、かつ部下がなにを考えているのか常に明確にし、自分が指示をあれこれ出すのではなく、まず相手の話を聞く。そして、適切なアドバイスは最後にする。
これが、上司と部下、組織全体のエンゲージメント力を上げるのに寄与する中間管理職の働き方のひとつです。
グーグルで復活した中間管理職
先に挙げたグーグル社のグジバチ氏は、もともと、グーグル社では中間管理職に当たるマネージャーを廃止していたのだと語っています(「iX 」HP内記事「Googleの『最高の上司』がチームの生産性を高めるためにしていること」2017年5月30日より)。しかし、2009年に行った「Project Oxygen(プロジェクト・オキシジェン)」の調査の結果、「その人がいたほうが組織全体のパフォーマンスが高まる上司像」というものが導き出されたことで、マネージャー職を復活させることにしたそうです。それは、およそ次のようなものだったと述べています。
①専門知識を持った良いコーチである
②チームを勢いづけ、マイクロマネジメントをしない
③部下が健康で過ごし、成果を挙げることに関心を払う
④生産的かつ成果主義である
⑤チームの良き聞き手であり、コミュニケーションを活発に取る
⑥部下のキャリア形成を手助けする
⑦明確なビジョンと戦略を持つ
⑧チームにアドバイスできる技術的な専門知識を持つ
どれもこれもたいへん素晴らしい上司像だと思います。まとめるなら、グーグル社における最高の上司とは、自分自身が仕事に没頭して成果を出すようなプレイング・マネージャーではなくて、部下のパフォーマンスを最大化させ、組織(チーム)として成果を上げられるような場所作りができるような人、ということになるでしょう。
私が考える、必要とされる1割の中間管理職もそのような人物だと言えます。