「老後資金2000万円」問題。本当に、誰もが2000万円を準備する必要があるのでしょうか? 答えは「ノー」であると、ファイナンシャルプランナーの長尾義弘さん、税理士の福岡武彦さんは断言。「老後資金は人それぞれである」と話します。それぞれに必要な金額をはじき出し、資金がいつ枯渇するかまであぶり出すエクセル術とは――。
※本稿は、福岡 武彦、長尾 義弘『定年の教科書 お金 健康 生きがい』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。
老後の資金はこうして計算する
実際にどうすれば、自分にとって必要な老後資金の金額がわかるのでしょうか? 老後資金というのは、毎月の足りないお金を補う役割を持っています。
年間で足りない金額×寿命(年)で必要額がわかることになります。しかし、寿命は誰にもわからないので、とりあえず長めの95歳で計算しましょう(65歳からだとすると30年間)。
すると次の式でわかります。
老後資金=毎月の不足額×12カ月×30年
もともと老後資金2000万円というのも「毎月5.5万円が足りなくなる」ということで算出された数字だったのです。つまり、全体の平均額ですね。ですから、ご自身の正しい不足額がわかれば、正しい必要額がわかるというわけです。チャレンジして計算してください。
老後のキャッシュフロー表を作る
老後資金のお金(つまり家計の収支)をイメージするには、キャッシュフロー表を作るといいでしょう。この表で「見える化」することができます。
キャッシュフローとは、簡単にいうと「お金の流れ」です。収入から支出を差し引いてお金がどれだけ残っているか? という収支を表にすることです。そうすれば、お金の流れが可視化されます。
老後のキャッシュフロー表を作ることで、老後資金がどのくらいもつのか? また、老後資金がどのくらい必要なのか? 毎月どのくらい節約すればいいのか? はたまた旅行などのレジャーには、お金をどのくらい使っても大丈夫なのか? ということまで見えてきます。
この方法が、老後の「お金」を解決するのにもっとも有効な手段です。ちょっと手間がかかっても、作ってみることをお勧めします。