PRESIDENT WOMANでは、12月3日、企業の人事・ダイバーシティ担当者のためのオンラインイベントを開催。さまざまな女性活躍プロジェクトを成功させてきた大和証券グループ本社社長・中田誠司氏を迎え、「女性管理職を増やす!」をテーマに語っていただきました。木下明子編集長のインタビューでお届けします。

大和証券が女性活躍を推進する理由とは

【木下】現在の日本企業では、女性活用を平等論や人権論と捉え、企業利益には結びつかないという考え方もいまだに根強いようです。この点についてはどうお考えでしょうか。

大和証券グループ本社 取締役兼代表執行役社長 最高経営責任者(CEO)中田 誠司さん〔撮影=小林久井(近藤スタジオ)〕
大和証券グループ本社 取締役兼代表執行役社長 最高経営責任者(CEO)中田 誠司さん〔撮影=小林久井(近藤スタジオ)〕

【中田】そうした考え方は正しいとは言えません。日本はもちろん海外の調査でも、役員や管理職の女性比率が高い企業は財務パフォーマンスにプラスの影響が出ていると示唆されています。当社では、以前から女性活躍やワークライフバランスの実現を経営戦略の一つとして位置づけ、積極的に取り組んできましたが、それは平等論や人権論からではなく、自社の持続的成長に欠かせないと考えたためです。

【木下】ひと昔前は、証券会社と言えば長時間労働、かつ男性社会というイメージがありました。御社も、2005年時点では女性管理職が全体の約2.5%しかいなかったそうですが、現在では約16%と激増しています。女性活用を一気に加速させたのはなぜでしょうか。

【中田】長時間労働については、私自身がまったくの無駄だと思っていたことから、ずっとなくすべきだと思い続けてきました。そして女性活躍については、優秀な女性が出産を機に退職してしまうケースが多く、非常にもったいないと感じていたことがきっかけになりました。そこで、15年ほど前に女性活躍推進チームを立ち上げて一気に改革を進めたのです。

そもそも証券業はバーチャルで行われる知的業務であり、そこには性別も年齢も関係ありません。社内で設けている新人賞では、昨年の受賞者5名のうち4名が女性でした。