男性育休「1週間以上」を強力に推進
【木下】数値を示して目標を「見える化」することが大事なのですね。御社では、女性活躍に関してどんな数値目標を設定されていますか?
【中田】2020年度までの目標として、女性管理職比率15%以上、新卒採用における女性採用比率を安定的に50%、研修受講者に占める女性比率50%、年休取得率70%以上、男性の育休取得率100%を掲げています。特に男性の育休取得推進には力を入れており、2017年からは3年連続で取得率100%を達成しました。さらに、今年度からは「原則1週間以上の取得」を推進しています。
男性の家庭参画は、女性のさらなる活躍支援に必須です。当社にはほかにも「妊婦エスコート休暇」や「キッズセレモニー休暇」などがありますが、休暇はわかりやすい名前をつけると意外ととりやすくなるんですよ。上司が「何で休むんだ」と言えなくなるので(笑)。
【木下】それは他社でも導入できそうですね。さらに、ダイバーシティ政策全般としてはどんな取り組みをされているのでしょうか。
【中田】当社は、女性だけでなく誰もが能力を発揮できる仕組みづくりを目指しています。若手社員向けには奨学金返済サポート制度、ベテラン社員向けにはスキルアップ研修や、実績などによって55歳以降の処遇を優遇する「ライセンス認定制度」、介護休職の延長などを実施しています。さらに、高齢の営業員に対する雇用上限年齢廃止、障がいのある社員の採用機会拡大や包括的支援などにも取り組んでいます。
【木下】近年は、ダイバーシティ経営が、特に海外からの投資の指標にもなっています。日本企業も、女性活躍を含めたダイバーシティ政策に積極的に取り組んでいかなければなりませんね。
【中田】いずれ、女性役員が何%いるかが議決権に影響する時代が来るでしょう。女性活躍やダイバーシティ、ワークライフバランスの実現は企業の成長に欠かせないものであり、すべての企業が今すぐ取り組みを始めるべきです。
私が人事担当役員だった頃は、女性活躍への取り組みには向かい風が吹いていました。しかし、今はこれまでにないほどの追い風が吹いている時代。人事・ダイバーシティ担当の皆さんはぜひこの追い風に乗って、自信と信念、勇気を持って改革を進めていただきたいと思います。
構成=辻村洋子
1960年、東京都生まれ。83年早稲田大学政治経済学部卒業後、大和証券へ入社。2007年大和証券グループ本社執行役。09年取締役兼常務執行役、16年副社長を経て、17年4月より現職。女性管理職を続々と生み出し、性別に関係なく社員が実力を発揮できる環境を作った。