多様な形態の売春や男女の出会いが「パパ活」でひとくくりにされた

――パパ活とオブラートに包んではいますが、実際は援助交際であり、売春であり、妻子を持つ男性との愛人契約でもある気がするのですが……。

そう思います。

ただパパの援助で、タワーマンションに暮らす女性は、自分が愛人だという意識は薄いのではないでしょうか。彼女たちにとっては、愛人契約ではなく、あくまでもパパ活なのだと受け止めているように思います。

その意味で、パパ活は便利な言葉なんです。

昔なら愛人と呼ばれるような生活をしている女性も、1回1万円で食事だけごちそうになる女子学生も、援助交際のようにSNSで男性を探して2万円、3万円で身体を売る女の子も、パパ活という言葉におさまります。

アプリやSNSなどの発達が、多様な形態の売春や、男女の出会いを、パパ活とひとくくりにして裾野を一気に広げてしまったのではないかと感じます。

パパ活は「1カ月でどれだけ稼げるか」の労働

――コロナの影響でパパ活に変化はあったのでしょうか。

緊急事態宣言直後は、感染を警戒して女性と会うのを控えるパパが多かったのですが、現在はそれなりに復活しているらしいです。そこには、キャバクラやラウンジで遊ぶよりも、決まった女性と会う方が、リスクが低いという考えもあるのでしょう。

新宿
写真=iStock.com/RichLegg
※写真はイメージです

何よりもコロナは、水商売にたずさわる女性たちに大きな経済的ダメージを与えました。そんな女性たちがパパ活に流れていてもおかしくありません。

問題は、その女性たちが思うようなパパ活ができているのか。交際クラブにパパを紹介してもらえれば、年収や立場もそれなりに保証されています。しかし誰もが条件のいいパパを紹介してもらえるわけではありません。交際クラブに登録しても、定期的にお小遣いをくれる「月極パパ」や「太パパ」に出会える女性は3割程度と聞きました。

一方、マッチングアプリでは、どんな相手がくるか分からない。年収も経歴も、提示した条件すらも、デタラメの可能性すらある。トラブルの温床になっているにもかかわらず、アプリでパパを探す女性はたくさんいます。それほど生活に困窮しているのです。

コロナ前のことですが、パパ活アプリを利用している女性にインタビューしようと接触を試みました。けれどほとんどドタキャンされてしまいました。

推測も含みますが、おそらく彼女たちは、太パパや月極パパがいない。だから、マッチングしたパパとのスケジュールは押さえますが、より好条件のパパが見つかると、前の予定をキャンセルしてしまう。彼女たちにとってパパ活は、労働なんです。1カ月でどれだけ稼げるか……。彼女たちは毎日、必死になってスケジュールを入れているそうです。

私が話を聞いた女性たちは「パパ活は、キャバ嬢や風俗嬢よりも効率がいい」と口をそろえていました。

実は、そこがパパ活のメリットの1つです。マッチングさえすれば、自分の好きな時間帯をパパと過ごして、お小遣いをもらえる。バイトのようにシフトを守らなくてもいいし、キャバ嬢のように遅刻や欠勤をしても罰金を支払う必要もない。しかも勝ち組の女性は、月数度の食事だけで、数万円ももらえる。労働に対する単価が非常に高いんです。