ルールを教えている目の前で信号無視する人が…

子どもの目の前で、赤信号を無視して横断歩道を突っ走っていく人を時々見かけます。「あの人はどうして信号無視するの?」という質問に、どう答えていいのか分からない、という親御さんの話をよく聞きます。

私は、「急いでいるのかもしれないけど、自分の都合だけ優先して、交通ルールを守らないダメな大人がいるってことだよね。あの人は、運転する時も赤信号無視するんじゃないかな。だから、気をつけないといけないんだよ。青信号を信じていれば、安全なわけではない」と娘に伝えています。

交通ルールに限らず、日ごろから娘に話しているのは、大人だからといって信用していいわけではないということです。法律ルールを守らない人間が、世の中にはたくさんいます。もちろん、守らない人が一方的に悪いのは間違いありません。でも、そういう人がいるという現実を知っていれば伝え、未然に防げることがあるかもしれません。

特に交通事故は、命にかかわる重大な事件で、取り返しがつきません。だから、被害に遭わないように自分でも気をつけないといけない場合もあるということを、繰り返し話し聞かせています。

また、プライベートで自分が担当する死亡事故の現場近くを通る時は、現場に行って娘と一緒に花を手向けたり手を合わせたりします。その時、娘に事故の状況を伝え、「ちゃんと青信号で横断歩道を渡っていたのに、すごいスピードで車が突っ込んできたから死んじゃったんだよ」と説明します。そうすると、事故が起こるはずのない場所でも死亡事故が起きるのだ、ということが実感できるからです。

横断歩道を渡る子供
写真=iStock.com/ti-ja
※写真はイメージです

防犯意識を高めてもらうために伝えていること

また、娘の性被害を防ぐためにも心掛けていることがあります。子どもの性被害は発覚しにくいということは、受任した事件を通じて痛感しています。子どもを性の対象とする大人の多くは、子どもを手なずけて信頼させ、それにつけ込んで犯行に及びます。ですから、幼いうちは、大人と二人きりになる環境にしないことが大事で、私もそのことには気をつけてきました。

また、「水着で隠れるところは、他の人が勝手に触ったらダメなんだよ。大人でもしてはいけないんだよ」ということは娘に伝え、もしそういうことがあったら教えてね、ということも伝えてきました。それから、ホームセンター等の不特定多数が出入りするトイレはとても危険です。ある程度の年齢になるまで、絶対に1人で行かせないことが重要で、私も常に付き添うようにしてきました。