昇進試験に落ちたことで意識が変わった
【白河】及川さんはポーラ一筋でキャリアを積んでこられて、今年(2020年)1月に代表取締役に就任されました。まずはこれまでのキャリアについてお聞きしたいのですが、ご自分が経営層へのラインに乗ったと意識したのはいつ頃ですか?
【及川】実は意識したことはないんです。私は入社直後に販売会社への出向を命じられ、そのまま20年近くそこにいました。どちらかというと本社での経営参画への意識はなく、出向先での仕事に夢中になっていたと言えるでしょう。ですから、どこかでラインに乗ったというよりも、やりたいことをあれこれ口に出しているうちに社長になったという感覚ですね。
【白河】やりたいことを口に出すようになったのには、何かきっかけがあったのでしょうか。
【及川】意識が変わったのは、30代半ばで課長昇進試験を受けた時です。その頃の私は出向先での環境にとても満足していて、もう定年までこのままでいようと思っていました。ただひとつだけ、もう少しお給料を上げてほしいなと(笑)。そこで、課長になれば昇給するだろうと軽い気持ちで試験を受けたら、こっぴどく批判されてものの見事に落ちたんです。その時初めて「やりたいことがないと役職には就けない」と気づきました。