ザ・ノース・フェイスが計画する「次の展開」とは

20年10月上旬発売予定のマタニティウエア(第3弾)では、ラインナップに「ベントリックス カーディガン」も加わりました。ここにも、子育てママたちへの調査などから得た、ママならではの悩みへの対策が盛り込まれているようです。

その一例が、ストレッチ性と軽量性、そして通気性。

「例えば、子どもは急に走り出したり、道路で飛び出しそうになったりするので、ママもとっさに動けるよう、ストレッチ性が重要です。

また育児中は、子どもの荷物まで持ち歩くことが多く、両手が塞がりがち。軽さも大切ですが、暑くて脱ぎたくても「手が塞がって脱げない」ストレスが大きい。そこで第3弾では、「通気性」も重視しました」

「今後は、さらに店頭や顧客の声を活かし、マタニティウエア以外にも、パパやママの悩みに対応できる機能を盛り込んでいきたい」と矢野さん。

例えば、パパが子どもをおんぶしながらでもテントを設営しやすいウエアの開発や、パパとママが兼用で着用できる衣類の開発など。

「今回の新型コロナによる時代の変化を、フラットに、ポジティブに見つめて、新しいカルチャーを創っていきたい。自然や多様な人々と『競争』ではなく『共創・共存』することで、新たな価値の創造に挑戦していきたいと思っています。それこそが我々、ザ・ノース・フェイスが、創業当初から持ち続けているミッションです」(ブランド広報担当者)

変革の時代だからこそ、既存の資源を活かして、まったく新たな分野に挑戦する。そのことで、思いもよらない「シナジー」が生まれる……ザ・ノース・フェイスのマタニティウエアの成功は、そんなワクワクする可能性を見せてくれたのではないでしょうか。

牛窪 恵(うしくぼ・めぐみ)
マーケティングライター

マーケティング会社インフィニティ代表取締役。修士(経営管理学/MBA)。2020年4月より、立教大学大学院・客員教授。同志社大学・ビッグデータ解析研究会メンバー。財務省・財政制度等審議会専門委員、内閣府・経済財政諮問会議 政策コメンテーター。著書に『男が知らない「おひとりさま」マーケット』『独身王子に聞け!』(ともに日本経済新聞出版社)、『草食系男子「お嬢マン」が日本を変える』(講談社)、『恋愛しない若者たち』(ディスカヴァー21)ほか、著書を機に流行語を広める。テレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。