消費者のニーズを掘り起こすため、グループインタビュー・座談会を開催する企業は多いのではないでしょうか。インサイトマーケティングの専門家である桶谷功さんは、これらの方法では消費者も気づいていない真のニーズには到達できないと指摘します。ではどのようにすれば、彼らが“本当に求めているもの”を明らかにすることができるのでしょうか――。
専門職の女性グループが会議室にて会議中
※写真はイメージです(写真=iStock.com/electravk)

表面的な話しか出てこない

こんにちは、桶谷功です。前回(「なぜか売れない商品ばかり企画してしまう、ヤバい日本企業の典型的な特徴2つ」)は人々の無意識のニーズである「インサイト」をつかむのが、ヒット商品を生み出す秘訣だというお話をしました。

今回は、その「インサイト」をつかむには、どうすればいいかというお話をしたいと思います。

古くからあるマーケティング・リサーチの手法のひとつに、「グループインタビュー」というものがあるのをご存じでしょうか。5~6人程度の一般消費者に会議室(座談会場)などに集まってもらい、司会者の仕切りのもと、「この商品のここが好き」「ここがよくない」「もっとこうすればいいのに」といった意見を自由に述べ合ってもらうものです。「グルイン」などと略されたりもします。

しかし私はグループインタビューの効果には懐疑的です。なぜなら人間はその場の雰囲気に流されやすいし、相手に嫌われたくない、できれば喜ばせたいという気持ちがあるから。その商品をつくっている会社の関係者を前に、「この商品はここが全然ダメ」と言い放つことができる人は、あまり多くないのではないでしょうか。つまりグループインタビューには、ネガティブな意見が出にくいというデメリットがあるのです。

また司会者の仕切り方にもよりますが、説得力のある意見を述べる人が一人いるだけで、全員がその意見に引きずられてしまうということも起こり得る。そうなるとインタビュー自体は盛り上がりを見せたとしても、それは表面的なものにすぎず、消費者の心の内面に降りていくことはできません。