9歳のとき家業が没落して、父母は失踪、離婚。まさに一家離散に直面した、苛烈な少年時代を過ごしながらも、後に老親の面倒は、最期までしっかりみたという。そこで学んだ教訓とは何か。浅田次郎、56歳。現代日本文学を代表する小説家が、自身の経験と願望を熱く語った――。

介護という言葉にはアメリカ的な義務感がつきまとっている

介護という言葉はあまり好きではない。子が親に孝行をつくすのは当たり前、ましてや家長たる男子にとって、それは明らかに人生の一部であるからだ。