自分が正しいと思っていても、反論しない学生たち

ところが、ちょっと前の香港のデモを見ればわかると思うけれど、中国人ならものすごく抵抗するわけだよ。日本軍が撤退したあとに起きた第二次国共内戦は3年も続き、その血みどろの戦いの結果、蒋介石が追い払われて現在の中国が生まれたわけだ。

韓国も血の気が多いし、台湾なんて一時期、議会で取っ組み合いの喧嘩をしていた。日本では罵声が飛び交うこともあまりなく、せいぜいヤジを飛ばす程度。大学で教えていても学生たちに覇気がなく、教師に反論することもあまりない。自分が正しいと思っていても、反論せずに、その場をやり過ごそうとする学生が多い。そのほうが楽なんだよ。

そう考えると、日本人を根本的に変えるのは難しいかもしれないな。今の支配階級は、戦後何十年もかけて、ろくでもない法案でも通してしまえばこっちのものということを経験的に学んできた。

操り人形を操作する人の手元
写真=iStock.com/SvetaZi
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だから憲法改定に関しても、国民的議論を巻き起こそうとは思っていなくて、デタラメな内容でも数の力で変えてしまえばいいと考えている。ウソでもなんでも法案を通してしまえば勝ちなんだよ。ウソをついたって韓国や台湾のようなことにはならないから、今や政権は国民にウソつくことをまったく躊躇していないようだ。

日本人がいちばん気に入らないのは「上手くやってるやつ」

ただ、いくら日本人が不思議な感性をしていると言っても、あきらめてばかりいたらフラストレーションがたまる。そこで、いじめてもいい相手を見つけ出して攻撃し、うさ晴らしをしようとなるわけだ。それが自粛期間中のパチンコ叩きであり、自粛警察であり、コロナ患者や医療従事者への嫌がらせであり、亡くなった女子プロレスラー木村花さんへの誹謗中傷であったわけだ。

このときにストレスをぶつける対象にされやすいのは多くの人と違うことをするマイノリティなんだけれど、実は日本人がいちばん気に入らないのは、自分が我慢しているのに、楽しそうにしていたり、上手くやっていたりするやつなんだよ。

自分はコロナで仕事が減ったりクビになったりしているのに、隣のやつが儲けたりするとすごく腹が立つ。それは嫉妬なんだけれど、孫正義や三木谷浩史のような大金持ちが儲けるのはそれほど気にならない。あまりにも経済格差がありすぎるんだよね。