ここも突っ込みたい!「ストップ高」の概念がない半沢ワールド
マイクロデバイスの発表後、スパイラルの株価は急上昇したが、ここもリアルな株式相場では即ストップ高となる。じりじりと大引けにかけて、段階的に株価が上昇していったが、実際の相場では、そのような値動きにはならない。株価は、一日に変動する値幅が一定の範囲内になるように制限値幅が決められていて、このようなニュースが出た場合は、一瞬で一日の値幅に達するだろう。そうすると、その値段で動かなくなり、その日は取引できない状態になる。
現実だったら、「ストップ高、張り付きだ!(株価が動かなくなること)」と叫びたくなる場面だが、じりじり上昇していくドラマの展開に筆者も吸い込まれてしまい、固唾を飲みながら画面を見てしまった。
したたかなコバンザメ・伊佐山が大和田に向けて「土下座野郎」
今回のシーズンでも新たな名シーンがいくつも誕生している。ご紹介しよう。
メガバンクである東京中央銀行では、日々醜い権力闘争が繰り広げられ「腐った組織」と言える。自分がのし上がるためなら、恩を仇で返すのは日常茶飯事。自分だけになつき、かわいがっていた愛弟子すら、ある日を境に敵になる。
このような内向きで醜い姿を、ドラマ半沢直樹名物の「土下座ワールド」でスピーディーに展開していく。
三笠を倒し、銀行内の権力を手に入れるために、裏で手を組んでいた常務の大和田と、その忠実な愛弟子・伊佐山。しかし、伊佐山は自分だけの出世をもくろみ役員達に近づき、大和田を裏切る。ここで師弟関係が崩壊する。
「いずれ頭取になると信じて仕えてきたのに、むしろ自分を裏切ったのは大和田だ」と、伊佐山は憎しみをあらわにする。
「あんたのした土下座のせいで。くだらん土下座のせいで! 土下座、土下座が全てを潰したんだ」と土下座を連呼して師匠大和田に牙をむく。
「つまらん(大和田)の土下座のせいでどれだけ泥水を飲まされたか」
まさに土下座ワールドの大展開。伊佐山は大和田を追い詰め、仕留めにかかったのだ。悲しいかな、伊佐山は始めから、大和田の仕事ぶりや人間性にほれ込んで、慕っていたわけじゃない。全ては出世のためだった。感謝も恩返しもない。
あげくのはてに「土下座野郎」という屈辱的な言葉を大和田に浴びせ、去っていった。
伊佐山とともに、三笠をハメるつもりが、愛弟子に裏切られた大和田は膝から床に崩れ落ちた。金融アナリストとしても、その姿には、同情すら感じる。