航空業界は特にコロナの影響が大きいと思いますが、大手2社は財務の健全性がそれなりにある状態です。キャッシュを潤沢に保有していますし、金融機関との関係性が非常に良好で資金繰りの懸念は生じていません。

ANAHDの決算報告では、「総額9500億円の資金調達の準備はできている」とあります。前述の売上高半減(1兆円減)という予測に符合する金額でもあり、売り上げが減る分は借り入れで賄える、というメッセージとも捉えられます。非常にスピーディな対応であり、金融機関との良好な関係性には驚かされました。

今後の業績は需要の回復ペース次第で、国際線は当面難しいとしても、収益の半分を占める国内線が回復すれば、ダメージはかなり緩和できます。20年4~5月が需要の底で、21年3月にかけて徐々に回復、というシナリオが想定され、21年3月時点で国内線需要が回復していれば、今期決算は売り上げ半減といった想定に収まると思います。

五輪は開催されても多少の追い風になる程度

なお、五輪は開催されても多少の追い風になる程度で、劇的に数字が変化するほどのインパクトはないとみられます。とはいえ、旅客需要が喚起されるという点では、21年開催の注目度はそれなりにあるでしょう。

むしろ中長期的なファクターとして注視したいのが、リモートワークの普及で出張が減るといった、ニュー・ノーマルの影響です。コロナ禍が収束しても旅客の需要が減る、ということは、リスクシナリオとして想定しておく必要がありそうです。

しかしながら、前述のように資金調達の目処も立ち、破綻といった事態からは距離があります。コロナによる20年4~5月の大雨は収まり、20年6月以降は小雨。もし再び大雨に見舞われても、金融機関との関係からある程度の安心感はある。ただし、いつ晴れるかはわからず、新しい生活・ビジネス様式という雨雲にも注意、です。

(構成=高橋晴美)
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